コロナ禍で人々の生活習慣は激変した。消費者の食品スーパー(SM)での買物行動も然り、である。いまだ見通し不透明ななかで「コロナ3年目」となる2022年を迎えたわけだが、SMは顧客から支持を集め続けるためにどのような販促戦略を打ち出すべきか。ヨークベニマル(福島県)を経て、現在は食品小売業のコンサルティングを手掛ける㈱マルダ代表取締役社長の渡辺太郎氏にポイントを解説してもらった。
「料理疲れ」が顕著に?簡便ニーズが再び高まる
2021年のSM各社は、コロナ禍での需要の高まりを追い風に、前年に引き続き業績好調だった。多くの企業で利益という「貯金」ができた年だったのではないだろうか。
一方で、同じコロナ禍にありながら、20年と21年で比較すると、消費動向は大きく異なるものであったと言える。そのため今年の販促施策を検討するうえでは、単に前年(21年)を振り返るだけでなく、過去2年間の変化を分析することが重要だ。
21年は前年に比べると「調理にかける時間が短くなった年」だったと思われる。コロナ1年目の20年は「家族みんなが家にいる」という非日常を楽しむべく、素材に凝り、調理に時間をかけるという動きが見られた。しかし21年はそれが一変、各家庭で“料理疲れ”の様相を呈し、総菜などの中食商材に、とくに主婦の手が伸びたようだ。
筆者が代表を務めるマルダでは過去17年以上、消費者の生活調査を行っている。すでに分析を完了している21年上期の主要な催事(ひな祭りやお盆など)期間にフォーカスして見ると、食卓での「実施率」で前年上回ったイベントは「ひな祭り」と「土用の丑の日」のわずか2つだった。
考えてみれば、前者はひな祭り用の「ちらし寿司」などを買うだけ、後者はうなぎを家で温めるだけ、と関連商品は調理が簡単なものが中心だ。そうした商品の価格は決して安くないが、それでも「簡単に済ませられるなら」という意識が働いたとみられる。
その一方で、週末の家族イベントの代表格であるBBQ関連の商品ニーズは伸び悩んだ。夏季の肉や海鮮類など事前に準備が必要な食材の品数が減少していて、家にストックしてある肉で簡単に焼き肉を楽しむといった程度のようだった。
つまり、コロナ禍が長引くなかで、「週末にはちょっとごちそうを」と考える家庭が減ったと考えられるのではないか。振り返ると、21年はとくに主婦層の「料理疲れ」が顕著となり、いかに簡単で、楽しく、便利な商品を提案できるかがSMに問われた年であり、その傾向は22年も続くだろう。
生活防衛意識向上!「使い切りニーズ」をつかもう
加えて22年は、
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。