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2021年春・夏 新商品ヒットランキングー生活者のインサイトをとらえた、おうち時間を豊かにする商品が上位へ

2021年春・夏 新商品ヒットランキングのバナー

新型コロナウイルスの感染拡大から1年以上が経過しワクチン接種も進んだ一方で、家で過ごす時間はコロナ前と比較し依然として長い。2021年春夏の新商品についても生活者の巣ごもり需要に応える商品が多くみられた。主要カテゴリーのヒットランキングを見ながら生活者のインサイトを探ってみたい。

外食品質を手軽に味わう商品続々 酒類は新規ユーザーも拡大

 2021年1月~6月に新尚品・リニューアルとして発売された商品群を21年1月~8月の期間金額PIでランキング化したところ(販売店率20%以上の商品が対象)、主要カテゴリーのランキング1位商品は【図表】のようになった。

 新型コロナウイルスの感染拡大から1年以上が経過し、緊急事態宜言は解除されたものの、それまでの外食機会の減少もあり内食需要は継続。外食品質の味を自宅でも楽しみたいというニーズは引き続き高く、さらに調理時間の短縮や簡便性の高さといった項目も商品選択の際に重視されている。

外飲みから流人した新規ユーザーも多く、さまざまなタイプの酒類が好調に推移している。 i-stock/kuppa_rock

 エスビー食品の「町中華シーズニングおつまみもやし17g」はもやしと同品だけで町中華の名店の裏メニューである‘‘おつまみ”を家庭で手軽につくれるシーズニング、プリマハムの「絶旨チャーシュー」はラーメン屋で味わうような本格的なバラ肉チャーシューのテイストを実現したシンプルな味付けが特徴となっており、主婦層だけでなくリモートワークなどで自宅時間の増えた男性ユーザーにも好評だ。

 家庭用の酒類はコロナ禍の影響を大きく受けたカテゴリーのひとつだろう。既存ユーザーの奥行きの広がりに加えて、外飲みから流人した新規ユーザーも多く、さまざまなタイプの酒類が好調に推移している。

 たとえばサッポロビールの「濃いめのレモンサワー缶500ml」や六甲バター「QBBおうちDE居酒屋ベビーチーズ焦がしにんにく&ねぎ油風味」は、家でも手軽に居酒屋気分を味わいたいという生活者のニーズに応える商品。白瀧酒造の「上善如水 純米吟醸720ml」はすっきりと飲みやすい日本酒の入門酒として、アサヒビールの「FAUCHON紅茶のお酒 ストレート」は紅茶香る女性向けのリキュールとして新たな顧客を獲得している。サントリースピリッツの「SUNTORY WORLD WHISKY碧Ao350ml」は、世界5大ウイスキーの個性を楽しむことができるプレミアムブレンデッドウイスキーとして、既存のプレミアムウイスキーユーザーだけでなく、情報感度の高い若いユーザーも取り込んでいる。

主要カテゴリーにおける新商品のヒットランキング1位の商品
出典: KSP-POS(食品SM)に基づき弊社にて集計。2021年1月から6月までに発売された新商品の期間金額Plでランキングを抽出。期間は2021年1月~8月の8カ月間。販売店率20%以上の商品が対象。

若年層や男性ユーザーなど、新たな顧客をつかむことでヒット

 コロナ禍以降、生活者の健康志向はさらに高まっており、なかでもおいしく続けやすい商品の伸びが顕著だ。CJ FOODS JAPANの100%果実発酵の酢からつくった「美酢(ミチョ)」はその代表例。今年3月に発売した新フレーバーの〈みかん〉は、一時欠品するほどの人気となった。

 明治の「明治北海道十勝ミルクきわだつヨーグルト」は「十勝ミルク乳酸菌TM96」と北海道十勝産の良質な生乳で丁寧に発酵させたヨーグルト。安定剤・香料無添加ながら、しっかりとしたミルクのコクを味わえるヨーグルトとなっている。

 大塚食品の「マッチゼリー ミネラルライチ PET260g」は手軽にミネラルをとることができる炭酸入りのゼリー飲料で、ぷるぷるシュワシュワの食感が若年女性に人気だ。

 コロナ禍においては、冒険をせず安定したブランドや商品を選びたいという生活者の意向があり、そこから誰もが知るロングセラーブランドの商品が動く傾向にある。今期に関してはロングセラーブランドのブラッシュアップや、フレーバー追加といったエクステンション裔品の発表も多くみられた。

 日清フーズでは、内食機会の増加に伴い伸長する冷凍パスタの中でも男性ユーザーからの人気の高い「マ・マー大盛りスパゲティ」を、よりボリューム感を表現したパッケージにリニューアル。第一屋製パンの「アップルシナモンロール」は高級感のあるパッケージに変更したほか、アップルフィリングの増量を行っている。ヤマキ「ストレートそうめんつゆ」は10年ぶりのリニューアルでだしのうま味や風味がさらに向上。井村屋では「お赤飯の素」「赤飯用あずき水煮」ともに北海道産小豆に変更している。

 エクステンション商品の括りで見てみると、ペットボトル飲料では日本コカ・コーラの「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」、サントリー食品インターナショナルの「伊右衛門 京都ブレンド600mlペット」がリモートワークのビジネスパーソンらに支持され好調に推移。日本ルナ「ASIANSTANDいちごラッシー240g」は王道のいちごフレーバーで幅広い客層をつかみ、カンロの「塩カンロ飴140g」は60年以上続く超ロングセラーブランド「カンロ飴」の新フレーバーとしてSNSでも話題となった。発売40周年を迎えた理研ビタミンの「リケンのわかめスープ」は3種のアソートパックの投入によりライトユーザー獲得に成功。マルハチ「若もぎ小茄子カップ」は賞味期限が長く便利なカップ形態にすることで若年層の支持も集めている。

 コロナ禍においてはSMの主要購買者である主婦層だけでなく、若年層や男性など新たな顧客をつかんだ商品がヒットにつながっているといえそうだ。