アクセンチュアの最新調査によると、家庭向けデジタル音声アシスタント端末(以下、スマートスピーカー)を所有する消費者の間では、エンターテインメントやオンラインショッピングにスマートフォンを使用する頻度が低下してきていることが判明した。
世界19か国の消費者21,000人を対象にアクセンチュアがオンラインで実施した「2018年デジタル消費者調査」スピーカーのユーザーの66%は「家庭でスマートフォンを使う頻度が低下した」と回答したほか、64%が「エンターテインメント用にスマートフォンを利用する頻度が低下した」と回答した。また、「オンラインショッピングや通常の情報検索のためにスマートフォンを利用する回数が減った」と回答したユーザーはそれぞれ58%、56%と過半数を占めた。
今回の調査によると、スマートスピーカーの所有率(インターネットに接続可能なオンライン人口ベース)は2018年末までに前年比で2倍以上に上昇する見通しで、このうち、日本の消費者の所有率は16%にとどまる見込みである一方、インドでは39%、米国では37%、ブラジルでは34%、中国では33%と全体の3分の1以上に達すると予想されている。
スマートスピーカーの需要は高まっているとともに、消費者ニーズを満足させている点でも注目される。全体の回答者の63%がスマートスピーカーを「すでに使用している」または「関心を持っている」と答えており、また現在ユーザーの94%が製品に対して「満足している」または「非常に満足している」と回答している。
アクセンチュア株式会社 常務執行役員 通信・メディア・ハイテク本部 統括本部長 中藪 竜也氏は「日本でも2017年秋以降、各社が日本語に対応したスマートスピーカーを市場に投入するなど、本格的な普及に向けた動きが活発化しています。本調査では、日本のユーザーの約9割が家電との連携にも期待を示すなど、デジタルとリアルを融合した新たな体験をリードする接点として、スマートスピーカーに注目していることが明らかになりました。こうした消費者の新たなニーズを確実にビジネス機会につなげるために、企業はデジタル時代に対応したパーソナライゼーション戦略の策定を進め、より価値ある顧客体験の創出に注力していかなければなりません。」と語っている。
また、今回の調査ではスマートスピーカーに加え、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)を活用したサービスに対する消費者の関心の高さも示されており、その利用範囲はゲームの枠にとどまわらず、より実用的なニーズにまで拡がっていることが明らかになった。
例えば、回答者の67%が行き先を確認したり、新たなスキル手法を学んだりするための手段として、「ARやVRに関心を抱いている」と述べている。ほかにも、「自分に似合う服を視覚的に確かめること」(回答者の61%)や、「生中継のスポーツイベントを体感すること」(同52%)などの項目で関心の高さが示された。