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ドトールの味をどこでも楽しめる「直火焙煎ドリップ」が開拓した意外な客層

 2023年春のパッケージリニューアルを機に、伸長を続けている簡易型レギュラーコーヒーの「ドトール 直火焙煎ドリップ」。

 ドトールブランドであることを前面に押し出したパッケージに変更したことで店頭での視認性が高まり、回転率が高まっている。「いつでも、ドトール」をキャッチフレーズに家庭用商品を展開していく。

直火焙煎方式により香り高く、味わい深いコーヒーを実現

ドトール 直火焙煎ドリップ
直火焙煎により香ばしくまろやかな味わいの「ドトール 直火焙煎ドリップ」(2024年春リニューアル)

 コーヒー豆の焙煎・卸売業として創業したドトールコーヒーでは、店舗だけでなく家庭でもドトールコーヒーを楽しんでもらうために量販向けのチルドカップ飲料やドリップパックコーヒーを展開してきた。

 ドリップパックは産地やフィルターにこだわった高価格帯の商品を展開してきたが、家庭でも気軽にドトールコーヒーを楽しんでもらうために、2021年9月に「直火焙煎うまいコーヒー」を発売した。

 同社が創業当初からこだわっているのが「香り高く味わい深いコーヒー」。その味わいを引き出すために採用したのが直火焙煎だ。

 直火焙煎は、時間と手間が非常にかかるため、生産性は高くないが、同社では熟練の焙煎師がその日の気温や豆の状況を見ながら、最高の焼き加減に仕上げている。

 23年春にはパッケージとブランド名を「ドトール 直火焙煎ドリップ」にリニューアル。ドトールコーヒーのロゴを大きく配置したことで、店頭での視認性が高まり、店頭回転率がさらに高まった。

 リニューアル後も売上は好調に推移し、24年4月~9月の金額増減率は290.56%※と大きく伸長した。

定年退職後の60〜70代男性ファンも

 ドリップパックコーヒーは30~60代の女性がメーンのカテゴリーだが、同商品は60~70代男性ファンの割合も高いのが特徴。会社員時代に毎日店舗でドトールコーヒーを楽しんでいた人が定年退職して、家庭でも味わいたい、という根強いドトールファンが多いことが予想される。

 今年春には原料高騰を受け、「直火焙煎ドリップ」は18杯入りから15杯入りにリニューアル。コーヒー豆は3年前に比べ4倍近くに原価が上昇しているため、品質保持と買いやすさを優先してリニューアルとなった。

 同社では「直火焙煎」の価値を店舗と家庭用商品との両軸で訴求するほか、サンプリングや試飲販売なども積極的に行い、ドトールファンを広げていく考えだ。

高付加価値な豆が試せるドリップコーヒーに注目

 ドリップパックカテゴリーで最近注目なのが、コンビニエンスストア(CVS)を中心に展開している1パック商品。高付加価値な豆を採用し、通常商品よりもg数が多いのが特徴。飲用シーンが異なり、カウンターコーヒーとカニバリしないため、CVSでも積極的に取り入れている。

ブルーマウンテンとモカ組み合わせ
1パックタイプの「ドトール いろどりドリップ ブルーマウンテンブレンド」と「同 モカイルガチェフェ」

 ドトールコーヒーでは昨年秋から、CVS限定で「ドトール いろどりドリップ」を展開。ジャマイカ最高峰の限られたエリアで収穫されたブルーマウンテンブレンドと、ジャスミンのような華やかな香りで、希少価値が高いエチオピア産のゲイシャブレンドの2品。

 ちょっとリッチな気分を味わいたい時や、高付加価値なコーヒー豆を試してみたい人などに好評となっている。この春からはブルーマウンテンブレンドと、エチオピア産の華やかでフルーティーな香りのモカイルガチェフェの2品を全国展開する予定だ。

※KSP-POS(食品SM)。データは2025年3月の規格変更前の商品です

営業本部 営業企画部 部長 堀口敏正氏