内堀醸造の「臨醐山黒酢(りんこさんくろす)」は、玄米由来の甘味と食欲を刺激する豊かな香りで、料理にも使いやすく、飲用もしやすいことから愛用者から高い支持を集めている。
今後は、ブランドサイトでの情報発信や、ほかの商品も合わせた料理家とのコラボによるWEBマガジンなどもさらに強化。更なる需要拡大をめざす。
酒造りからこだわった酢造りで、愛用者から高い支持を獲得

岐阜県加茂郡八百津町に本社を構える内堀醸造。1876年の創業当時は清酢・味噌・たまりなどを製造していたが、1965年頃からは食酢の醸造を専業としている。
おいしい酢を造るために、まずはおいしい酒造りにこだわる。「酢造りは酒造りから」という考え方を創業時から大切に守り続け、果物や穀物などのあらゆる素材から、酒造りを行い、酢造りを試し、さまざまな独自製法によるこだわりの商品を提供してきた。
米酢、すし酢、ぽん酢など、各種の商品を展開するなかでも、とくに支持を集めているのが1997年の発売のロングセラー商品「臨醐山黒酢」だ。
「臨醐山黒酢」は、国産の玄米を使用していることに加え、一般的な黒酢の規格で定められた米の量よりも多くの米を使用しているため、一般的な黒酢よりもつやのある黒色であることが特長のひとつだ。
米麹をしっかりと使った伝統的な多段仕込みや、じっくりと時間をかけて発酵させるなどのこだわりの製法で、玄米の甘味をほどよく感じられ、独特なクセの少ない黒酢に仕上げている。
まろやかな酸味とコクと食欲を刺激する豊かな香りで、調味料として料理を引き立てるのはもちろん、飲用するのにも向いている。
レシピ提案などで認知拡大

「臨醐山黒酢」は、発売当初は認知度も低かったが、おいしさや使いやすさへの定評から口コミが増えたことや、黒酢ブームや昨今の健康志向などが追い風となり徐々に需要が拡大。黒酢市場がブーム時に比べ下降傾向にあるなか、今期も堅調な伸長を見せた。
従来からのメーンターゲットである味わいや品質に価値を求める50~60代女性に加え、最近は、飲用のために買い求める20~30代の男性からの需要も拡大しているという。
また、最近の好調を受け、2024年1月に立ち上げたブランドサイトで、「臨醐山黒酢」のこだわりや、同社のモノづくりの姿勢、愛用者である料理家のレシピなどを発信したことも、新規ファン層の開拓に寄与しているようだ。
今期は、レギュラーサイズの360mlが伸長したが、毎日飲用するユーザーなどの拡大により、大容量の900mlにスイッチするユーザーも今後さらに増えていくと見込んでいる。
今後は1月にリリースしたWEBマガジンを中心に、料理家への取材のほか、モノづくりの紹介、おすすめの使い方など、同社ならではの発信を強化することで、更なる配荷率の向上と新規ユーザーの獲得をめざす。
2月1日に国産原料100%の「国産穀物酢」の発売も予定するなど、内堀醸造全体のブランド力拡大にも努めていく考えだ。
「最近は、海外で評価されているブランドも増えています。“臨醐山黒酢”だけでなく、もっと“内堀醸造”を知ってもらえるような施策も今後拡大していく予定です」(内川氏)