MMSマーケティング(東京都/ 岩渕弘之社長)はフレキシブルでユニークな販促企画およびマーケティングで、数々の成功事例を有している。同社のシニアディレクターを務める岩永幸徳氏に、同社の領域と実績、今後の展望について話をきいた。
独自の価値を持つデジタルマーケティング
2017年創業のMMSマーケティングは、モバイルやインフラ構築、システムインテグレーションを主力事業とするビーマップを筆頭に、駅構内や電車内の中吊り広告をはじめ多くの広告を手掛けるジェイアール東日本企画、秋元康・伸介両氏が設立したアイドルプロデュースを手掛けるY&N Brothersの3社によって設立されたデジタルマーケティング会社だ。
母体となるビーマップは鉄道の乗り継ぎや予約システムなど鉄道インフラに向けたサービスをはじめ、Wi-Fi関連事業がベースとなっているエンジニア集団であり、そこへ広告代理店のジェイアール東日本企画、人気アイドルの46、48グループライセンスを持つY&N Brothers、さらにメディアとしてニッポン放送や読売新聞東京本社が出資社として加わっている。同社はマーケティングやマスコミュニケーション、映像関連など多数の分野の企業とアライアンスを組んでおり、より広範囲にわたり質の高いサービスを提供している。
MMSマーケティングの主な事業モデルは、「Wi-Fiプラットフォームを活用した集客モデル」、「コンビニマルチコピー機を活用した集客モデル」、「購入レシートを活用した集客モデル」の3点となる。
「Wi-Fiプラットフォームを活用した集客モデル」は、全国のコンビニエンスストア(CVS)に配置されたWi-Fiプラットフォームを活用し、クーポンの配信をはじめゲームやアイドルコンテンツと連携するなど、単にインターネットに接続させるだけでなく、顧客を呼び込むためのサービスを提供する。
「コンビニマルチコピー機を活用した集客モデル」は、全国の主要C V Sや食品スーパー(SM)などに設置されているマルチコピー機から、さまざまなコンテンツをプリント購入できるサービス「こんぷりん」を活用した事業。アイドルのブロマイドをはじめ、メーカーの販促物やノベルティなどをユーザーにプリントしてもらうことで、全国の販売店に納品する手間やコストを省くことができる。
「購入レシートを活用した集客モデル」は、ユーザーが購入レシートを登録して特設サイトにアクセスするとインスタントwinの抽選に参加でき、商品や店内で利用可能なクーポン、景品などが当たるといった、販促とリピーター獲得につなげるサービスとなっている。
そのほかにも、テレビ局との太いパイプを生かした「めざましじゃんけん」でのサンプリング企画をはじめ、電車の中吊り広告からスマホでの抽選を経由しC V Sでのサンプリングを行う企画、新聞チラシからリアル店舗への送客、レシート登録によるプレゼントキャンペーン、公式アプリをダウンロードした人だけが購入できるサービスの提供など、メディアと店舗・ブランドをデジタルでつなぐ、新しい集客・販促手法(Media to Mobile to Store)を実現し、数々の成果を上げている。
さまざまなメディアからモバイルサイトを通じて、店頭へと誘導する仕組み
これまでMMSマーケティングでは大手CVSをメーンに生活者、リテーラー、メーカーそれぞれに価値をもたらすWin-Win-Winの提案を行ってきたが、次のフェーズとしてメディアリーチ力や企画コンテンツ力、購買につながる送客・創客を生かし、食品スーパーやドラッグストア(DgS)、総合スーパー(GMS)など、対象となる業態を拡張し、シンジケーション化を進めていこうとしている。
同社のシニアディレクターを務める岩永幸徳氏は「コロナ禍を機に物販全体のE C化が進む一方、食品メーカーにとってリアル店舗の売上構成は依然として高い。CVSだけでなくドラッグストアやスーパーなど多業態への送客が継続的かつ広範囲で実行可能なプラットフォームを持つことで、Media to Mobile to Storeの手法を広げていく」と話す。
この取り組みの第一弾となったのが、21年1月、食品スーパーのベルクと、中京地区を地盤とする豆乳・味噌メーカーのマルサンアイが実施する「“SKE48がバレンタインデーなのにおみそ汁を振る舞いますのイベントの招待・ベルク商品券プレゼントキャンペーン」の企画・運営のサポートだ。
同キャンペーンは21年1月10日から1月30日の期間中、ベルクの公式アプリを活用し、ベルクの122店舗で取り扱うマルサンアイ全商品を含む合計3000円分以上のレシートをスマートフォンで撮影し、応募フォームに添付して応募すると、抽選で50名に『SKE48が振る舞うおみそ汁お渡し会』に招待。さらに抽選で500名に1000円分のベルク商品券をプレゼントするというもの。
MMSマーケティングは母体であるビーマップがこれまで培ったレシート読取技術や抽選システムを活用し、企画・運営をサポート。さらに同社のネットワークを生かし、マルサンアイの地元である愛知県にゆかりのあるSKE48の主要メンバーの須田亜香里さん、福士奈央さん、石川花音さんをキャスティング。加えて、埼玉県内でのイベントということから、埼玉県出身の元SKE48の松村香織さんも追加でキャスティングを行った。
コンテンツとTwitter販促は相性がよい
このキャンペーンは男性を含む若い世代の客層を増やしたいというベルクと、若い世代や関東圏のユーザーを取り組みたいマルサンアイの要望から生まれた企画だった。通常、タレントを使ったキャンペーン企画は、膨大な時間やコストがかかるが、MMSマーケティングの場合、タレントはイベントのみのスポット契約であり、企画からイベント当日までワンストップでサービスを提供することでスピード感とコスト削減を実現。実際に同キャンペーンは企画から当日まで約2カ月という短期間で実施された。
キャンペーン中はTwitterを中心に、参加メンバーによる情報発信や折り込みチラシ、店頭での商品山積みといった施策を実施。名古屋方面からベルクの店舗に来店して商品を購入するユーザーもおり、期間中の売上は大幅に伸びた。
イベント当日はコロナ禍ということもあり、味噌汁を直接渡すことはできなかったものの、サンプリングやトークショーを絡めたファンとの交流イベントは大成功をおさめ、ファンである来店客をはじめ、参加メンバーからのSNS上での反応も非常によかったという。
MMSマーケティングでは、ベルク・マルサンアイ共同企画の第二弾として、1月末より「“ダチョウ倶楽部が名古屋風おでんを振る舞います”のイベント招待・ベルク商品券プレゼントキャンペーン」の企画・運営サポートを行ったほか、3月にはイオンリテールとサンヨー食品が実施する「イオン・イオンスタイル対象、カップスター及び和ラー商品購入レシート画像を送って当たる“カップスター46周年記念キャンペーン with乃木坂46”のオンライン・トークイベントへの招待及び乃木坂46メンバーサイン入り色紙及びイオンギフト券プレゼントキャンペーン」の企画・運営サポートも行い、着実に実績を重ねている。
同社は今後も企画立案からキャスティング、当日のイベント運営まで、フットワークの軽さとフレキシブルな対応で、次世代のMedia to Mobile to Storeマーケティングの実践をめざしていきたいとしている。