1952年、赤痢予防のために日本初の薬用石けん液と容器を開発したサラヤ(大阪府/更家悠介社長)。このたびの新型コロナに対しても、衛生分野のトップ企業として、ハードとソフトの両面から感染予防に取り組んでいる。長年培ってきたノウハウをもとに、感染症の専門家と連携しながら、持続可能な感染対策を提案・サポートしている。
衛生インストラクターが持続可能な感染対策を提案
世界の「衛生・環境・健康」に貢献することをミッションとするサラヤでは、現在、一般家庭向けの商品を扱う「コンシューマー事業」、医療や介護の現場での感染対策をサポートする「メディカル事業」、食品取扱現場や事業所などの衛生レベルの向上をサポートする「サニテーション事業」の3つの領域で事業を展開している。コロナ禍においては、これら3つの部門がより緊密に連携し合い、感染予防に取り組んでいる。
なかでも注目すべきは、サニテーション事業部における「衛生インストラクター」の存在だ。同部門にはかねてより「食品衛生サポート部」という名のもと、全国17拠点100名以上の衛生インストラクターが在籍し、顧客に合わせて現場の衛生管理をサポートしてきたが、2020年11月、「感染予防・食品衛生サポート部」に名を改め、食品衛生だけでなく感染対策もトータルにサポートするようになった。
感染対策とは、手指衛生、マスク、換気、環境洗浄の4つが重点項目として挙げられる。同社では、衛生インストラクターが現状診断を行った上で、重点項目の改善案を提案し、現場に適したマニュアル作りとその運用を支援している。
「感染対策というと、とかくマニュアルを多くつくりがちですが、大切なことは持続可能であること。私たちは、メディカル事業で培った感染対策のノウハウをベースに、日本感染症学会元理事長の舘田一博先生からも教えを請いながら、無理なく継続して取り組める感染対策をお客さまにご提案しています」と話すのは、サニテーション事業本部 本部長の戸室淳治氏。
例えば、手指衛生についてはその遵守率を調べ、70%以上になる環境づくりを提案する。70%というのは、医療現場でのエビデンスに基づく値だ。手指消毒の遵守率が70%を超えれば、院内感染の発生率を下げることがわかっていることから、施設入口での手指消毒の遵守率向上をめざす。具体的には、アルコールボトルの増設や自動式への変更などだ。ボトルを1台から2台に増設すれば、遵守率は約11%、ポンプ式から自動式へ変更すれば約15%それぞれ向上するという※1。画一的なマニュアルではなく、現場の状況に合わせた提案は導入しやすく、好評を博している。
※1 サラヤ調べ
感染予防を徹底するために商品開発と啓発活動を両輪で
「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、感染対策の課題も変わってきています。当初はアルコール消毒剤が不足し、それをどう調達するかが問われていました。しかし今は違います。消費者からは『ポンプに触れずに使いたい』『エビデンスのしっかりあるアルコール消毒剤を使いたい』といった要望が上がり、小売業などの現場からは『アルコールボトルに何度も消毒液を補充するのが大変』といった悩みも聞かれます。そこでサラヤでは、こうした声に応えた商品の開発にも取り組んでいます」(戸室氏)
そのひとつが、「自動手指消毒器PHD-L01」だ。一般的なアルコールボトルの場合、セットできる容量は1Lだが、同商品は10Lの大容量。これなら消毒液の交換回数が少なく抑えられる。さらに、人通りの多い場所や遠くからでも目立つ大型サイズである上に、ブースタイプで消毒液の飛散を防止する。ショッピングモールなどの商業施設はもとより、空港や駅などの交通機関やスポーツ施設といった多くの人が利用する場所での導入が進む。
また、「顔認証サーマルカメラ手指衛生管理システム プロテゲート」(特許出願中)も画期的な商品だ。その最大の特長は、顔認証機能により測定した表面温度の記録を個人別測定データとして残すことができる点にある。つまり、従業員向けに利用すれば、その前を通るだけで日々の測定値が自動で記録・保存されるということだ。しかも、手をかざすと消毒液が吐出される。感染から身を守るために必要な機能が1台に集約されたというわけだ。
サラヤでは、こうした課題解決につながる商品開発はもちろんのこと、感染予防のための啓発活動にも力を入れている。
「どんなに職場内で感染対策を行っても、家庭での感染予防がおろそかになっていては元も子もありません。家庭内感染が増えている今こそ、手を打たなくてはと考え、コンシューマー事業部と連携し、『家庭の感染と予防ガイドブック』を作成しました※2。日本ヘルスケア協会監修のもと、菌やウイルスを家庭内に持ち込まない玄関消毒の大切さを訴求しています」(戸室氏)
日本を代表する衛生分野のトップ企業として、全方位で新型コロナウイルスの感染予防にハードとソフトの両面から取り組むサラヤ。その推進力はますます高まっている。
※2 「家庭の感染と予防ガイドブック」はこちらからダウンロードください。