安全・安心なフルーツを世界中に届けているユニフルーティー。これまで日本ではバナナの販売が中心だったが、グループのグローバルネットワークをより活用することを目的に、2020年から日本市場におけるバナナ以外のフルーツ販売を新規事業として本格的にスタートした。
7カ国に生産拠点を持つグループネットワークを活用
自社農園での栽培から輸送・加工・流通に至るまですべての工程を一貫して管理しているユニフルーティーグループ。フルーツの輸入業者は数多くあるが、生産から輸入・販売まで手掛けている企業は少ない。自社グループで徹底管理することで、おいしいだけでなく、安全・安心なフルーツを消費者に届けることができるのが強みとなっている。
ユニフルーティーグループは、フィリピンやチリ、南アフリカなど7カ国に生産拠点を持ち、6カ国に輸入販売拠点を持っている。ユニフルーティージャパンでは、こうしたグローバルネットワークをより活用して、日本でもバナナ以外のフルーツ販売を新規事業として2020年から本格的にスタートした。今期で3年目を迎える新規事業は、着実にバナナ以外の商材を日本市場に広げているが、バナナ以外の認知度が低いのが課題となっている。そこで今回は同社の新規事業の取り組みを紹介する。
バナナの追熟技術を応用し食べごろキウイを提供
近年、同社が力を入れて取り組み、販売拡大につなげているのがキウイフルーツ。春から秋にかけて輸入キウイが店頭に並び、冬には国産のキウイに移行して年間を通して販売され、需要拡大が続いているが、国産キウイに限っては年々生産量が減少傾向にある。店頭に並んでいる国産キウイは十分な追熟がされていないものが多く、それをそのまま食べた人は、「固くてすっぱい」などの経験から消費者離れが加速しているのが現状だ。
そこで、キウイの売上拡大のためには冬場の販売の改善がもっとも効果的と考え、同社ではジョージアから高品質なキウイを輸入。ロシアやヨーロッパ、中東・アジアに囲まれたジョージアは、比較的温暖な気候で、ブドウや柑橘の栽培に適した国だ。同社ではバナナの追熟で培った技術を応用して、すべてのキウイを適熟に加工して供給するため、食べごろのキウイを提供できる。冬場にジョージア産キウイを導入することで、年間を通してキウイの販売拡大を図ることができそうだ。
チリ産ブドウは店頭で映える新包材を採用
ワインで有名なチリは、温暖で乾燥した気候、豊富な伏流水、病害虫の少ない環境に恵まれており、高品質なブドウが栽培されている。ユニフルーティージャパンではもちろん自社園地で栽培のチリ産ブドウを中心に年間を通じてブドウを供給。今年は、黒6種、赤10種、ミドリ8種、珍種2種の合計26品種をラインアップ。旬のおいしいブドウを厳選して日本のマーケットに供給してきた。
23年からはチリブドウで、新企画のトップシーラーを採用。欧米ではトップシーラーのブドウ商品が増えているが日本では初の試みとなる。トップシーラーは密封することで鮮度が保たれるほか、表面に商品の情報が掲載できるため、パック日を印刷するなど、流通からの要望を取り入れたデザインを採用している。店頭でも並べやすく、色鮮やかなブドウをアピールすることで購買を促進することもできそうだ。さらに新包材は、20~30%のプラスチック削減にも貢献する。
同社では日本と季節が逆の南半球に農園を持っていることから、日本の旬シーズンと異なるもの、おいしいもの、珍しいもの、リーズナブルなものを積極的に提案している。
国産ミカンの旬の時期にあえてチリ産オレンジを投入
コロナ禍の家飲み需要拡大から、家庭でのレモンの消費量が増えている。そこで通常、1~2パックで販売されているレモンを同社では大容量パックで販売。マーケティングで協働しているジューススタンドバー会社の「ゴクゴク」と「おうちで本格レモネード」というコラボレーション企画を提案した。ゴクゴク監修のレモネードレシピを付けることで、簡単にレモネードがつくれることを店頭でアピール。シズル感のある鮮やかなパッケージで売場を華やかに演出した。小容量パックが基本のレモンは、大容量パックの珍しさもあって想定以上の反響だった。
新商材として同社が力を入れているのが、チリ産のオレンジ「ダブルマーコット」。晩秋からは国産ミカンが出回る時期で、各社が豪州産のイージーピールオレンジの販売を終了させていくなか、同社ではあえてチリから旬のオレンジを輸入。濃厚で甘い、おいしいフルーツであれば、たとえ国産ミカンの旬の時期でも需要が見込めると判断した結果だ。
「多くの輸入業者が売上や利益を考えて手を出しにくい商品でも当社ではチャレンジしていきます。数量や売上は意識せず、日本の消費者が好むかどうかが選択の基準です」(新規事業開発部シニアデパートメントマネージャー・馬場修一郎氏)
消費者にとっては「鮮度が高く、おいしいフルーツ」であることが最優先であるため、国産ミカンの需要期であっても、ある一定数の販売量は見込めそうだ。
さらに馬場氏は「過去に輸入されていた商品で、輸入者にとって、需要が落ちた、あまり儲からないなどが理由で販売を終了させた商品は多いが、当社では、どうせ売れない、という先入観は捨てて、日本の消費者にとってメリットのあるものを提案していきたい」と話しており、小売店の状況に応じてキメ細かく対応していく考えだ。
同社では、2023年2月15日~17日に開催される「スーパーマーケット・トレードショー2023」に出展予定で、主力のバナナのほか今回紹介したチリ産ブドウやジョージア産キウイなどを展示予定なので、「ぜひ、足を運んでもらいたい」と話している。