景気低迷により、平均客単価50元以上の飲食店の閉店、倒産が始まっている中国で、客単価100元で成長している飲食チェーンがある。四川火鍋のトップチェーン「海底撈(ハイーディーラオ)」だ。
海底撈は、エンターテインメント性あふれるサービスで話題になり成長してきた。店内では随時、麺打ちや中国の伝統芸能「変面」のパフォーマンスが行われ、さらには無料のネイルサロンや靴磨き、洗髪コーナーまで用意されている。
火鍋と何の関係があるかは問わない。お客が喜ぶことであれば何でもやるというそのスタイルは“変態級接客”とまで評され、「高くてもおいしくて楽しい店」として中国で人気を集めていった。2019年度には平均客席回転率が驚異の5.2回にまで達し、どの店にも長蛇の行列ができ、それでもなお人が並ぶような超人気店に上り詰めた。
しかし、コロナ感染拡大期の20年度には、増収減益という初めてのつまずきを経験した。そして収束に向かいつつあった21年度、海底撈は勝負に出る。ほかの飲食店が撤退した空き物件に目をつけ、一気に 200店舗を新規出店、リベンジ消費の波に乗ろうとした。
これが完全に裏目に出る。中国ではその後も局所的な感染拡大が続き、さらに原材料費の高騰により値上げをせざるを得なくなった。11月にはその戦略の失敗を認め、290店舗の不採算店舗を閉店または休業にした。この出店・撤退費用により、21年度は増収こそ維持したものの、41億6100万元(約910億円)という大型赤字を計上することになった。
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苦境を脱するべく
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