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欧州進出に垂直統合 タイ系財閥「セントラル」と「CP」知られざる小売事業の成長戦略とは

小売事業に注力するタイの大手財閥2社

 セントラル・グループ(Central Group:以下、セントラル)とCPグループ(CPGroup:以下、CP)はタイを代表する財閥系企業だ。2社ともにリテール事業も大きく展開しており、その近年の動向は、タイ市場のみならず「グローバル」という文脈で見ても非常に興味深い。

 小売事業において、両社が主戦場としている領域は異なる。図表❶は小売市場のサブセグメントごとにセントラルとCPのプレゼンスの強さをローランド・ベルガーが指数化したものだ。

 セントラルは、「セントラル・ワールド」など大型ショッピングモール事業に強いほか、文具販売の「オフィスメイト」やホームセンター「タイワサドゥ」も傘下に持ち、専門店チェーン市場においても一定のシェアを持つ点も特徴である。

 一方で、CPは「セブン-イレブン」をはじめとしたコンビニエンスストア(CVS)市場での存在感が大きく、タイの同市場で8割近いシェアを持つ。さらには、スーパーマーケット(SM)「ロータス」の買収によりSM市場でのシェアも3割近くにまで高めた。

 両者のすみ分けのイメージとしては、消費者の日常購買チャネルを押さえているCP、週末型の大型店に強いセントラル、といったところだ。そしてそのポジショニングの違いは、それぞれの戦略展開にも表れており、異なる示唆を与えてくれる。2社のリテーラーとしての側面にフォーカスして詳しく見ていこう。

オムニチャネルと海外進出強化、セントラルの戦略

 まず、セントラルの基幹事業は小売

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