イートインスペースを持たずストアピックアップか宅配のみとして、複数のブランドを1カ所で取り扱う外食ビジネスモデルを、「ゴーストキッチン」と呼ぶのはご存じのことだろう。即日宅配が一般化したことを前提として生まれたビジネスである。
ウーバー創業者のトラビス・カラニック氏が株式を売却して資金をつくり、次の事業として投資したのが2016年創業のクラウドキッチンズ(CloudKitchens)だ。ゴーストキッチン業態のパイオニア企業の一社である。ギグワーカーで成立しているビジネスをカラニックが運営するなかで、人だけではなく料理を運ぶというニーズの存在に気づき、立ち位置を“つくる”側に移して、“運ぶ”と“つくる”をシームレスにつなげる新たなビジネスチャンスを見出したのだろう。
ゴーストキッチンが「フードホール」を出店
ゴーストキッチン業界でクローガーとの関係を拡大し始めているのがキッチンユナイテッド(Kitchen United)である。ゴーストキッチンをクローガーの店内に出店する取り組みで、私の知る限りでは6カ所程度まで増えている。クローガーはキッチンユナイテッドに投資もしており、スーパーマーケット(SM)の今後の進化に必要な機能の1つと見込んでいるのだろうと考えている。
この店内ゴーストキッチンを両社は“ミックスフードホール”と命名している。キッチンユナイテッドはイートインスペースを持つ自社営業のゴーストキッチンをフードホールと呼んでおり、その延長線なのだろうと思っている。即配最大手のドアダッシュもイートイン付きのゴーストキッチンを営業していて、彼らもフードホールと呼んでいる。
このフードホールは、ここ数年にアメリカで急速に注目を浴び始めているコンセプトである。フードコートとどう違うのか
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