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米6月CPI5.4%上昇、13年ぶり伸び率 旅行関連など値上がり

ニューヨーク市のショッピングセンター
7月13日、米労働省が発表した6月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比5.4%上昇と、前月の5.0%から加速し、2008年8月以来、約13年ぶりの大幅な伸びとなった。景気回復に伴い旅行関連サービスなどの価格が引き続き値上がりした。写真は2019年3月、ニューヨーク市のショッピングセンターで(2021年 ロイター/Brendan McDermid)

[ワシントン 13日 ロイター] – 米労働省が13日に発表した6月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比5.4%上昇と、前月の5.0%から加速し、2008年8月以来、約13年ぶりの大幅な伸びとなった。景気回復に伴い旅行関連サービスなどの価格が引き続き値上がりした。

前月比では0.9%上昇と、前月の0.6%を上回り、08年6月以来の大幅な伸びとなった。

食品・エネルギーを除くコア指数は、前年比4.5%上昇し、1991年11月以来の高い伸びを記録。前月比では0.9%上昇した。

6月は上昇分の3分の1以上が中古車・トラックによるものだった。中古車・トラックは10.5%上昇。1953年1月の統計開始以来の大幅な伸びとなった。世界的な半導体不足で自動車生産が抑制される中、中古車・トラックがこのところ物価上昇の主な要因になっている。

前年同月比では45.2%上昇と、上昇率は過去最大。上昇はレンタカー業界が牽引しているが、業界データに基づくと、中古車・トラックの価格上昇は近く収束するとみられている。

エコノミストは、物価上昇は一過性のものとの見方を変えていない。連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長も同様の考えを示している。

ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオン(バージニア州)の企業エコノミスト、ロバート・フリック氏は「今回の結果は恐ろしげに見えるが、物価は一時要因で押し上げられているとの見方を変えていない」とし、「今回の結果は、インフレ高進は年内に収束するとの見方と整合性が取れている」と述べた。

ハリス・フィナンシャル・グループ(バージニア州)のマネジング・パートナー、ジェイミー・コックス氏は「インフレは上昇しているが、何かが大きく変化したわけではない」と指摘。JPモルガン・ファンヅ(ニューヨーク)のチーフグローバルエコノミスト、デビッド・ケリー氏は「景気回復ペースは今後、若干減速し、インフレはこのところの高水準から低下する可能性がある」としながらも、「米経済は今後、極めて完全に回復し、物価高を維持するに十分な過剰需要がみられるだろう」と語った。

JPモルガン(ニューヨーク)チーフ米国エコノミスト、マイケル・フェロリ氏も「このところのインフレ高進は一部の部門のみに牽引されている。物価上昇はおおむね一過性のものとするFRBの見方を裏付けるもので、市場もこうした見方を共有している」と述べた。

ただ、一部要因は来年以降も根強く継続する可能性がある。6月は家賃が上昇。在宅勤務からオフィス勤務に戻るにあたり、都市の中心部に移り住む人が増えれば、急上昇が予想される。ロヨラ・メリーマウント大学(ロサンゼルス)のサン・ウォン・ソン金融・経済学教授は「数カ月で全てが正常化すると考えるのは難しい」としている。