最新テクノロジーを活用して食の領域におけるさまざまな課題の解決をめざすフードテック。ただ、一口にフードテックといっても、生産能力の向上やサプライチェーン効率化、食品ロス削減、料理の手間を低減するものなど、対象とする領域は幅広い。本稿では、コロナ禍で内食需要が高まるなか、家庭向けに開発された技術やサービスについて解説していく。
材料の注文まで可能「ショッパブル・レシピ」
コロナ禍で消費者の生活様式が劇的に変化し、食シーンが終日にわたって家庭内にシフトした。米食品小売業界団体の食品産業協会(FMI)の2020年度レポートでは、米国成人の約40%が「コロナ禍で料理する頻度が増えた」と答えた。これに伴って、いわゆる「自炊疲れ」の傾向もみられ、20年8月に発表された米国消費者2000人へのアンケート調査では、約55%が「家庭での料理に疲れを感じる」と回答している。
コロナ禍で内食の頻度が高まるなか、日々の献立に役立つソリューションの1つとして米国で広がりを見せているのが、レシピの検索・閲覧から材料のリスト化、ネットスーパーでの注文までをオンラインで実行できる「ショッパブル・レシピ(Shoppablerecipe)」サービスだ。
代表例の1つが、ショッパブル・レシピプラットフォーム「エニーカート(Anycart)」だ。アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)やホールフーズ・マーケット(WholeFoods Market)のほか、アルバートソンズ(Albertsons)とその傘下のジュエルオスコ(Jewel-Osco)、セイフウェイ(Safeway)など、米国チェーン14社と提携しサービスを提供。メニューやカテゴリー、ライフスタイル別にレシピを検索でき、レシピを選ぶと必要な材料がまとめてオンラインの買物かごに追加される。レシピはシェフが監修したもので、その調理工程もオンラインで画像や動画によって視覚的にわかりやすく表現され、誰でもおいしく料理を仕上げられるようにしている。
外部企業と手を組み商品・メニュー提案を進化
食品廃棄物を減らすために大半の企業自前のネットスーパーの利便性向上を図るべく、米国小売業が外部企業との提携を進める動きもある。小売最大手ウォルマート(Walmart)は、
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