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アンケート調査で判明! 今いちばん値上がりしている品目と2023年の食品値上げの見通し

成果報酬型の紙媒体広告システム「インターペーパー」を提供するインターカラー(東京都)は、2022年11月4~6日の期間、国内市場にて食品の生産・流通に関わる400人(「生産」「加工」「輸送」「卸」「小売」の)を対象に値上げの動向に関するアンケート調査を実施した。同アンケートで明らかになった2022年の食品値上げの実態と、2023年の食品の値上げ動向予測の概要をレポートする。

sinngern/iStock

6割の事業者が値上げを敢行

 ロシアのウクライナ侵攻などを背景とした世界経済の混乱により、2022年は未曽有の値上げラッシュの1年となった。新聞雑誌などのオフラインメディア向けの成果報酬型の広告サービスを展開するインターカラーは22年11月、「食品事業従事者にきいた 食品の値上げ動向」と題したアンケート調査を実施している。

 アンケートの1つ目、「あなたの事業は2022年に値上げをしましたか。(単数回答)」という設問では、全体の60.1%が「値上げした」と回答した。その割合が最も多かったのは小売で78.9%。小売は「1回値上げした」が43.8%と最も多く、「2回値上げした」が16.3%、「3回値上げした」は18.8%となっている。食品小売業では、カテゴリ別または品数を拡大しながら「再値上げ」を敢行した企業も相次いでおり、アンケート結果にも表れている。

 「値上げをした理由(複数回答可)」についての質問では、全体では「仕入れ価格の値上がりのため」が43.5%と最も多かった。次いで「ガソリンなど燃料・エネルギー価格の値上がりのため」が24.5%、「副資材全般の値上がりのため」が17.3%と続いた。

 仕入れ価格の値上がりは、小売(68.8%)、卸(57.5%)、加工(42.5%)において最も大きな値上げ理由になっている。エネルギー価格の値上がりがとくに響いたのは生産(20.0%)、輸送(27.5%)だ。生産では、エネルギー価格の値上がりに加え「飼料・肥料などの値上がりのため」も20.0%と多く、エネルギー価格の値上がりと同等の最も大きな影響としてとらえられている。

値上げ率が高かったのは……

 値上げを実施した時期(月)についての質問では、帝国データバンク(東京都)の「食品主要 105 社」において2022年の月別で最も値上げ品目数の多かった(6699品目)10月が87件と最も高く、次いで期の変わり目である4月が61件、油脂類や冷凍食品、菓子などが値上げされた9月が55件と続いた。

 これら商品の値上げ率についての質問では、「9~10%」の値上げをしたという回答が最も多く、次いで「4~5%」の値上げをしたという回答が続いた。

 商品別の値上げ率の平均を見たところ、水産加工品が17.3%、水産食品が16.9%、畜産食品が15.5%で、その他の品目はすべて13%以下だった。とくに値上げ率の高い水産加工食品および水産食品について値上げの理由を調査したところ、「仕入れ価格の値上がりのため」が最も大きな理由として68.8%、次に「副資材全般の値上がりのため」が43.8%、「ガソリンなど燃料・エネルギー価格の値上がりのため」が37.5%であった。

 こうした値上げの背景には、欧米のインフレ基調による急激な円安、ウクライナ危機に伴う原油価格や原材料価格の高騰、それらに伴う物流費の上昇や漁獲量の減少など複合的な要因がある。企業努力だけではこれらのコストを吸収できず、商品・サービス価格への転嫁が余儀なくされたという事実が浮かび上がっている。

2023年前半に値上げが集中?

 2022年の値上げ・再値上げ・実質値上げラッシュは10月をピークに一旦落ち着きをみせているが、2023年はどのような状況が想定されるのか。

 「あなたの事業は2023年に値上げをすると思いますか。(単数回答)」という設問では、37.1%が「値上げをすると思う」と回答している。中でも「1回値上げすると思う」が22.8%と最も多く、「2回ほど値上げすると思う」が10.0%、「3回以上値上げすると思う」が4.3%であった。とくに卸では41.3%が、次いで小売の40.0%が1回以上の値上げを想定している。

 想定している値上げの理由は「仕入れ価格の値上がりのため」が25.5%と最も多く、「ガソリンなど燃料・エネルギー価格の値上がりのため」が20.8%で2022年と一致している。大幅な値上げを実施してもなお、コスト圧力はいまだ解消されておらず2023年も引き続き値上がりが敢行されることを想定している。

 業種別では、小売と卸、加工が仕入れ価格の値上がりを最も懸念しており、生産と輸送においてはエネルギー価格の値上がりについて懸念している。
 
 値上げに踏み込む時期としては4月の想定が12%と最も高く、1月~4月という年の前半に予想が集中している。また値上げ率については4~5%という回答が最も多いが、19~20%と高い値上げ率を想定している回答も一定数あった。

 商品別では2022年と同様「水産食品」との回答が16.4%と最も高いが、「調理食品」16.3%、「農産食品」が13.1%と続いた。

2023年、小売の経営状況はさらに悪化する?

 2023年の食品全般の価格については、72.5%が「値上がりすると思う」と回答しており、26.8%に上る回答が「2022年以上に、大きく値上がりすると思う」と回答している。これらの状況によって「あなたの事業の2023年の経営状況は2022年と比較して、どうなりそうですか(単数回答)」については、37.3%が「悪化すると思う」としている。中でも、小売は最もこの回答が多く、41.3%が経営状況の悪化を想定している。

 帝国データバンクによると2023年2月にはすでに3269品目の食品値上げが予定されており、2022年10月に匹敵する規模の値上げラッシュが起こるとされている。平均値上げ率も一部回答にあった19%~20%という想定は大げさではなく、現時点で判明している食品の値上げ率平均は17%となっている。

 アンケートの回答からは、事業従事者の方々が実際の経済状況を肌感覚で感じ取っていることが読み取れる。2022年11月の消費者物価指数の上昇率は、1981年12月第2次オイルショックの影響を受けていた時期以来の水準となっているが、実質賃金はマイナスが続いている。高止まりする物価の上昇に対して、賃上げその他の経済対策が速やかに進められることが喫緊の課題となっている。