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食品スーパー決算2025 優勝劣敗鮮明でランキング上位にも大きな変動が!?

食品スーパー(SM)業界の経営環境は依然として厳しい状況が続いている。経済が正常化に向かう一方で、慢性化するインフレが収益を圧迫し、利益確保がいっそう難しくなった。また、業界内では上位企業を軸とした競争の激化や企業統合・再編の動きが加速し、各社の成長力や収益力の差がこれまで以上に鮮明となっている。2024年度の決算では、多くの企業が増収を達成したものの、利益面で苦戦を強いられる企業も目立ち、明暗が分かれる結果となった。

 ここ数年、コロナ特需の反動を経て、SM業界の市場環境は徐々に正常化してきた。一方で、原材料・人件費・物流費の上昇が収益を圧迫し、経営環境は厳しさを増している。

 ダイヤモンド・チェーンストア誌24年7月1日号「決算2024ランキング」に掲載したSM業態のランキングを振り返ると、前年度(22年度)と比較可能な28社のうち25社が増収だった。

 24年度決算でも、インフレによる商品単価の上昇が売上を押し上げ、前年度との比較可能な25社のうち22社が増収となった。

2024年度の決算では、多くの企業が増収を達成したものの、利益面で苦戦を強いられる企業も目立ち、明暗が分かれる結果となった

 一方で、コスト増の影響は依然として大きく、上位10社のうちライフコーポレーション(大阪府:以下、ライフ)、バローホールディングス(岐阜県:以下、バローHD)、ヤオコー(埼玉県)などの6社が増益となったものの、4社は減益で着地。収益力の差が鮮明に分かれた。

 このほか注目したいのが、上位10社の順位に大きな変動が見られた点だ。前年度2位のバローHDがライフをわずかに上回って首位に浮上。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都:以下、U.S.M.H)は、いなげや(東京都)の経営統合効果により4位から3位に順位を上げた。フジ(広島県)は順位を1つ落とし4位となり、10位以下ではベルク(埼玉県)が順位を2つ上げて8位に躍り出た。

バローHDがトップに躍進!ライフも堅実に成長

 首位に立ったバローHDの25年3月期連結業績は、営業収益8544億円(対前期比5.8%増)、営業利益231億円(同1.5%増)、経常利益261億円(同2.2%増)、当期純利益136億円(同14.3%増)で、営業収益と当期純利益は過去最高を記録した。

 好業績をけん引したのはSM事業だ。バローHDは現在、生鮮部門の強化を軸に、専門性と目的来店性を高めた「デスティネーション・ストア(D・S)」による新規出店や既存店改装を推進。鮮度訴求や即食提案に特化した施策が、客数を押し上げた。

 地域別では、関西圏の売上高が470億円となったことを受け、従来500億円としていた同エリアの売上目標を1000億円に引き上げた。加えて、関東圏でも今期中に「バロー」店舗の出店を予定しており、中長期的に売上高500億円をめざす方針だ。

 利益面では、営業総利益の上昇によって人件費の増加分を吸収したほか、減損損失の減少や法人税負担率の低下も最終利益を押し上げた。

 26年3月期の業績予想では営業収益9020億円を見込んでおり、売上高1兆円の達成がいよいよ現実味を帯びてきた。

 2位となったライフの25年2月期連結業績は、

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