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起死回生の海外展開へ 鳥貴族運営のエターナルホスピタリティG、中間決算は増収・2ケタ減益

焼き鳥チェーン「鳥貴族」を運営するエターナルホスピタリティグループ(大阪府/大倉忠司社長)は312日、20257月期第2四半期決算を発表した。新規出店により増収となったものの、原材料費の高騰や賃上げに伴う人件費の増加により2ケタ減益に沈んでいる。

鳥貴族

上期は増収減益、通期業績を下方修正

 エターナルホスピタリティグループの257月期第2四半期決算(連結)は、売上高が対前年同期比10.7%増の221億円、営業利益が同20.5%減の13億円、経常利益が同20.6%減の13億円、親会社株主に帰属する中間当期純利益が同28.8%減の7億円だった。

 国内においては「鳥貴族」「大吉」ブランドを中心に展開し、東名阪エリアを中心に店舗網を拡大してきた同社。上期は13店舗を新規出店し、総店舗数は1152店舗(251月末時点)となっている。直近では未進出エリアへの展開に注力しており、2411月に熊本県1号店を出店、254月に新潟県への初出店を予定している。

 中間決算はは、新規出店や既存店が堅調だったことにより増収となったものの、業績予想を10億円下回った。利益面では、原材料費の高騰や賃上げによる人件費の増加により、国内の鳥貴族事業の増益幅はわずかにとどまったことに加え、海外進出に伴う開業準備費や新本社の賃料がかさみ、営業利益以下の段階利益は2ケタの減益となっている。大倉社長は会見で、「海外進出による先行赤字は想定の範囲内で推移している。先行投資として妥当だと考えている」と説明した。

 また、同社は決算発表前日の311日、国内の鳥貴族の価格を51日より370円均一(税込)から390円均一(同)へ変更すると発表した。4月に予定されているビール類の値上げなどを踏まえたものだ。

 この値上げと中間決算の結果を踏まえ、通期の業績予想(連結)を下方修正。売上高は対前期比8.2%増の453億円、営業利益は同6.5%減の30億円、経常利益は同7.2%減の30億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同15.4%減の18億円を見込む。

海外展開を加速、アジア・米国で店舗網を拡大

 エターナルホスピタリティグループは、257月期を初年度とする3カ年の中期経営計画で、海外進出へ向けた「店舗モデル構築と展開」を掲げている。現在、海外では米国、韓国、中国、台湾、香港で店舗を展開しており、252月時点の海外店舗数は13店舗となっている。今後は米国で確立したモデルを欧州や豪州へ、アジア圏のモデルは中国市場へと展開していく考えだ。

 各国への展開を見ていくと、米国では、245月にロサンゼルスの焼き鳥店から事業を譲り受けた「HASU Gardena店」、同年8月にオープンした自社ブランド「zoku Riviera店」に続き、252月に鳥貴族ブランドとしては米国1号店となる「TORIKIZOKU Torrance店」をオープンした。いずれの店舗もロサンゼルスにあり、「TORIKIZOKU Torrance店」では8ドル均一と4ドル均一の2プライス制を採用している。また、今後はファストフード業態の開発にも着手する。

 韓国では、249月にソウルの繁華街・弘大(ホンデ)に鳥貴族1号店を開業し、現在は同エリアで3店舗体制を構築、ドミナント展開を進めている。大倉社長は「韓国は日本と最も似た消費傾向を示しており、注文スタイルが近い」と話す。また25年春には、ソウルに海外市場向けの高級業態「MOZU」の出店を予定している。

 中国・上海では、252月に郊外のショッピングセンター内で、鳥貴族1号店を出店したのを皮切りに、252月時点で3店舗を運営している。今後も郊外立地での展開をめざす。

 台湾では、食品大手「大成集団」との合弁会社を通じて事業を運営しており、252月までに台北を中心に3店舗を出店した。香港では、現地企業「四州集団」とフランチャイズ契約を締結し、人口密度の高い屯門に2412月に鳥貴族1号店をオープンした。

 こうした海外展開をさらに加速させるとともに、今後は東南アジアへの進出も視野に入れる。