総合スーパー(GMS)は、コロナ禍で時短営業などの制約を受け業績が低迷した企業も多かったが、コロナ収束に伴う人流の回復により、大手や有力リージョナルチェーンは業績が上向いている。一方で、専門店やECの存在があるなか、収益性向上のための施策は依然、必要不可欠であり、大手を中心に抜本的な改革が推し進められている。
セブン&アイ・ホールディングス(東京都:以下、セブン&アイ)の2024年2月期の連結業績は、営業収益が対前期比2.9%減の11兆4717億円、営業利益が同5.5%増の5342億円、当期純利益が同20.1%減の2246億円だった。23年9月、そごう・西武(東京都)の全株式を米フォートレス・インベストメント・グループ(Fortress Investment Group)へ譲渡したことで計上した特別損益の影響により最終減益となったものの、営業利益は過去最高を更新している。
トップラインが減収となった要因は、いまや営業収益全体の約75%を占める「海外コンビニエンスストア事業」だ。同事業の営業収益は同3.7%減の8兆5169億円、営業利益は同4.1%増の3016億円だった。事業の中核であり、ガソリンスタンド併設型店舗を展開する米セブン-イレブン(7-Eleven,Inc.)において、ガソリン価格の下落と販売量の減少により、チェーン全店売上高が97.7%と落ち込んだ。
セブン&アイ傘下のイトーヨーカ堂(東京都)については、旧ヨークを吸収合併した影響もあって営業収益は同11.7%増の8149億円となったものの、グループ共通のセントラルキッチンの稼働をはじめとした戦略投資・インフラ整備によるコスト増で、12億円の営業損失を計上している。
こうしたなかセブン&アイは、収益性に課題のある事業についてこれまで以上に踏み込んだ改革を推進。食品スーパーとGMSからなる「スーパーストア(SST)事業」について、持続的な成長のための有力な選択肢の1つとして、
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