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西松屋、2023年2月期決算は減益で着地! 今期最高益達成に向けた打ち手は?

西松屋チェーン(兵庫県/大村浩一社長:以下、西松屋)が先ごろ公表した2023年2月期決算(非連結)は、売上高が対前期比4.0%増/前期から65億円増の1695億円、営業利益が同10.8%減/同13億円減の109億円、当期純利益が同10.1 %減/同8億円減の76億円だった。

28期連続の増収を達成!

 増収・減益での着地となった西松屋チェーンの2023年2月期決算。売上高は成長を続けており、28期連続の増収を達成した。既存店売上が同101.2%と好調だったことに加え、積極的な新規出店により増収を果たした。

 出退店では9店舗を閉鎖した一方で、新たに40店舗を出店。同社は全国47都道府県のユーザーが自社の商品・サービスにアクセスできることをめざし継続出店しており、2023年2月期末時点での総店舗数は1067に達する。

 商品では、小学校5、6年生向け商品の売れ行きが好調だった。西松屋の取り扱い商品はベビーや幼児向けが中心で、小学生を対象とした商品は低学年向けのものが置いてあるくらいだった。そうした中、西松屋では数年前から未開のターゲットである小学校高学年向けの商品を強化してきた。品揃えの拡充、取り扱い店舗の拡大、積極的なプロモーションなどが実を結び、売上成長につながっている。

 そのほか商品では、乳幼児向けの育児用品を揃える「Smart Angel(スマートエンジェル)」や、新生児からキッズ、マタニティまでカバーする「ELFINDOLL(エルフィンドール)」など主力のプライベートブランド(PB)商品も好調に推移した。

 Web販売については、自社ECの「西松屋公式オンラインストア」が好調で、2023年2月期は、ギフトカードや優待券を決済手段に加え利便性を向上させた。決済では、繰り返し入金可能な機能を搭載した「西松屋チェーンギフトカード(リチャージ版)」をローンチしている。

 ヒット商品を次々と生み出し、積極的な新規出店で消費者との接点拡大に努める―― 西松屋の成長は商品開発と積極出店が支えている。

仕入れ価格上昇が利益を直撃

 売上が好調だった一方で、利益面は芳しくない。

 2023年2月期は円安やエネルギー価格の高騰を背景に資材価格が上昇し、利益を圧迫。シーズン品を中心とした発注コントロールの徹底により、ディスカウントの抑制に取り組んだものの、売上高総利益率は前期から1.6ポイント悪化(36.4%→34.8%)した。

 一方、販管費率は前期から0.5ポイント改善(28.9%→28.4%)した。「スーパーインテンデント(店長が配置されない、複数の店舗を統括管理するマネージャー)制度」の導入、応援パート・多店舗パートの活用によるオペレーション効率が奏功したかたちだ。

 そのほか、光熱費高騰対策として、地道な節電や老朽設備の更新などにも努めたものの、仕入原価の上昇分をカバーできず、売上高営業利益率は前期から1.1ポイント悪化(7.5%→6.4%)した。

価格転嫁で収益改善なるか

 決算発表と同時に公開した2024年2月期の業績見通しでは、売上高が同6.2%増の1800億円、営業利益が同24.4%増の136億円、当期純利益が同21.5%増の92億円と増収増益を見込む。達成すれば売上・利益とも過去最高を更新する。

 同社は2022年のAW(AutumnWinter:秋冬もの)まで値上げを見送ってきたが、2023年SS(SpringSummer:春夏もの)より価格改定に踏み切る。仕入れコストが高騰する中で、これ以上価格を据え置くのは得策ではないと判断したようだ。

 商品戦略はプライベートブランドに注力し、ライバルが追随できない価格帯での商品ラインナップを強化する。小学校高学年向けも引き続き注力し、品揃えをさらに拡充させることで客層の拡大をめざす構えだ。

 Web販売に関しては、「西松屋公式オンラインストア」の拡販を引き続き推進。出店戦略では、売場面積が狭い店舗を広い店舗へリプレースするとともに、低収益店舗のスクラップ&ビルドにも取り組む。

 コスト負担の増加分については価格転嫁を進めると同時に、社内でできる限りの原価・経費削減も進めていくという。資材価格が高止まりする中で、グローバルレベルでの資材調達やアウトソーシング生産を推進し、コスト増を吸収する考えだ。

 店舗オペレーションに関しては、適正人員配置の徹底を継続的に推し進めると同時に、ITの活用による業務プロセスの再構築を推進し、業務手順の革新と標準化による定着をめざす。以上の取り組みにより、2024年2月期の売上高営業利益率は1.2ポイント改善(6.4%→7.6%)する見通しだ。