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市場は緩やかに回復? 最新決算が発表間近! アパレル2022年売上ランキングを振り返り

家計調査の品目別実質増減率(2人以上世帯)について、衣服関連で見ると、2022年は洋服が「前年比5.1%増」、シャツ・セーター類が「同5.8%増」となり、消費支出全体の伸び(4.2%増)を上回った。しかしながら、コロナ前の19年の支出額と比較すると、洋服は20%近い減少(18.6%減)、シャツ・セーター類も約15%減(14.8%減)であり、アパレル市場はまだ回復途上だ。

2023年決算は業績回復の兆し!

 業界トップのファーストリテイリング(山口県)は、23年8月期に入り、第1四半期は売上収益(売上高にあたる)が同14.2%増の7163億円。新型コロナウイルス感染症による行動規制の影響が大きかった中国大陸(グレーターチャイナ)と国内を除き、すべての国と地域のユニクロ事業で大幅な増収増益となり、東南アジア、北米、欧州(ロシア除く)は過去最高の業績になっている。

 コロナ禍においても売上を伸ばしてきた業界2位のしまむら(埼玉県)は23年3月期に入ってもなお好調を持続している。23年3月期第3四半期で売上高、営業利益は過去最高を達成した。しまむら単体の売上高は、前年同期比6.1%増の4592億円だった。インフルエンサーを活用した販促策、プライベートブランド(PB)やサプライヤーとの共同企画商品(JB)など、独自性の高い商品が好調に推移し、高価格帯PB「クロッシープレミアム)」の拡充も好調な業績を支えている。

 27期連続の増収を記録している4位の西松屋チェーン(兵庫県)は23年2月期の通期累計で既存店売上高対前期比1.2%増を達成、28期連続の増収が見えている。

 「ワークマンプラス」が牽引するワークマン(東京都)は、23年3月期第3四半期までの営業総収入が同9.9%増の1008億円。22年10月には百貨店へ初出店(東急百貨店吉祥寺店)するなど、23年決算では増収を見込んでいるが、あらゆるコストが上昇するなかでも、主力PBの価格を据え置いてきており、営業利益については期中に下方修正を行った。

 22年12月に通期業績予想を売上高、利益のいずれも上方修正したのはアダストリア(東京都)だ。23年2月期第3四半期累計の売上高は同13.7%増の1449億円。3割近い売上構成比を占めるEC売上も同6.9%の450億円と順調に業績を積み上げている。

 在宅勤務の影響で被った大きな痛手からの失地回復を図る紳士服業界。大胆な構造改革を進める青山商事(広島県)は、23年3月期第2四半期時点では営業損失だったが、通期業績予想の上方修正を公表、増収増益を計画している。経済活動の正常化により客数を回復させたAOKIホールディングス(神奈川県)は、経費コントロールを継続。23年3月期第3四半期累計の売上高はコロナ前の8割程度にもかかわらず、コロナ前から続く営業損失を5期ぶりに黒字化させた。

2022年決算をおさらい!

 間もなく、2023年決算が発表になる。好調企業の勢いはどこまで続くのか、コロナ禍からの回復は見えたのか。各社決算発表を待つ前に、22年決算での売上ランキングはどうなっていたのか、ここで振り返っておこう。

アパレル売上ランキング2022(トップ10社)断りのない限りは単体 ※  ファーストリテイリングの売上高は売上収益(IFRS)、ワークマンの売上高は営業総収入

 21年決算で上位各社は売上を大きく落としたが、22年決算ではその反動もあり、業績を回復させた企業が多い。トップ10社に限れば、8社が最終黒字を確保した(21年は3社のみ)。

 トップを走るファーストリテイリングの22年8月期連結売上収益は2兆3011億円(対前期比7.9%増)で、前期から1681億円の増収になった。もっとも、増収に貢献したのは海外ユニクロ事業(前期から1886億円の増収)で、国内ユニクロ事業は減収(同3.8%減)だった。海外ユニクロ事業は店舗数でも国内を上回り、営業利益でも半分以上を稼いでいる。

 2位はしまむら。22年2月期の売上高は同7.7%増の5779億円、当期純利益は同37.3%増の353億円といずれも過去最高を更新した。主力の「しまむら」事業ではJBの好調もあり、22年2月期の既存店売上高が同7.1%増と伸長した。

 4位の西松屋チェーンの22年2月期の売上高は同2.3%増の1630億円と27期連続増収を達成。同社PBである「スマートエンジェル」や「エルフィンドール」の好調な売上が大きな要因だ。同社は21年11月に自社EC「西松屋公式オンラインストア」を開設、ECに本格参入している。

※売上高は営業収益を掲載している場合もある。売上高の前期比較増減については、「収益認識に関する会計基準」が2021年4月から始まる会計年度より適用されているため、原則として22年2月期以前の決算期は適用前とし、前期との会計基準が統一されているとみなして増減を掲載。
22年3月期以降の決算期は適用後とみなして増減を記載していないが、決算資料やアンケート等で会計基準が統一されていることが確認できる企業は掲載。
また、会計基準を統一せず、新旧の単純比較による増減を公開している企業の増減数値には「*」を付して掲載している。