新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大下では、感染防止の観点からまとめ買いニーズが高まり、食品スーパー(SM)各社では客単価が増加した一方で、客数が減少した。そうしたなか2021年2月期の既存店客数を対前期比102.1%と大きく伸ばしたのがベルク(埼玉県/原島一誠社長)だ。店舗間競争が激化するなか、なぜ同社は支持されているのか。レシートデータを活用した消費者調査でその利用実態を明らかにする。
使われ方、利用者層
埼玉県で高い支持 ファミリー、単身世帯がメーンの店として利用
ソフトブレーン・フィールド(東京都/木名瀬博社長)は、全国に約80万人の協力モニターを擁し、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy(ポイント・オブ・バイ:以下、POBデータ)」を有している。月間1100万枚のレシートを収集し、リアル消費者購買データベースとしては国内最大級の規模となる(提携サイトを含める)。
このPOBデータと協力モニター(以下、POB会員)へのアンケート調査を活用すれば、消費者から見た小売チェーンの実態を明らかにすることができる。今回は同データによって、ベルクの利用実態に迫る。
はじめに、ベルクがどのような使われ方をしているのか探るべく、有力な競合チェーンとして「イオン」「オーケー」「ヤオコー」を挙げ、計4チェーンの利用動向を比較した。
まず、POB会員に「生活必需品の購入先としてメーンで利用しているSM」をたずねた。すると、ベルクが主に店舗展開する埼玉県に在住するPOB会員429人の中では、メーンで利用するSMとして「ベルク」が最も多く挙げられ、「ヤオコー」「イオン」がこれに次いだ(図表❶)。埼玉県内の店舗数を見ると「ベルク」が77店(21年2月末)、「ヤオコー」が92店(21年3月末)で、その数は「ヤオコー」より少ないにもかかわらず、ベルクは消費者にとって「メーン使いするSM」の座を得ているようだ。
ベルクのメーン利用者を詳しく見ると、世帯別構成比では、4人以上のファミリー世帯の割合が24.1%と、4チェーンの中で最も大きい。「比較的安い」「卵の特売がある」など、価格の安さや値ごろ感を評価する声が目立った。
さらに単身世帯の割合も22.1%と、「ヤオコー」や「イオン」に比べて大きいのが特徴だ。「夜遅くまで営業している」「仕事帰りに立ち寄りやすい」といったコメントが見られることから、夜の時間帯でも利用しやすい点が単身世帯に支持されていると推察される。
チェーン別に見る強さ
ベルクの強さは「安さ」「ポイントやお得なサービス」
次に、有力3チェーンと比較した「ベルク」の強さについて調査した。図表❷は、「ベルク」「イオン」「オーケー」「ヤオコー」をメーン利用すると回答した人に、その理由を尋ねた結果をまとめたものだ(複数回答)。その結果、
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