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1月ロイター企業調査:21年度収益、3分の2はコロナ前に戻らず 投資も抑制

上空から撮影された都内
1月のロイター企業調査によると、2021年度の収益が新型コロナウイルス感染拡大前の19年度の収益水準に戻らない見込みとする企業は3分の2を占めた。都内で2019年6月撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)

[東京 19日 ロイター] – 1月のロイター企業調査によると、2021年度の収益が新型コロナウイルス感染拡大前の19年度の収益水準に戻らない見込みとする企業は3分の2を占めた。足元では、新型コロナウイルスの感染が急激に再拡大しコロナ終息のめどが立たないもとで、過去最高益だった19年度の水準への回復はハードルが高いようだ。設備投資についても、今年度以下あるいはさらに削減する企業が7割を占めるなど、抑制傾向が続くとみられる。

調査期間は昨年12月24日から1月13日まで。発送社数は482社、回答社数は244社だった。調査期間中、新型コロナの感染再拡大を受け政府は、大都市圏を中心に緊急事態宣言を再発令した。

21年度の収益は新型コロナ前の19年度の7─9割程度まで回復とする回答が39%、5―7割までの回復が16%、5割以下しか回復しないとする企業も10%を占めた。「新型コロナの終息時期が見通せない」(精密機械)という回答が全てを物語っているとも言える。

再び緊急事態宣言が発令され、外出自粛が求められる中、一時期「GoToキャンペーン」で盛り返した業界も、再び大きな影響を受けている。「観光・運輸事業を中心に本格的な需要回復は2022年度以降と見込まれる」(運輸)という指摘がある。

政府は2月下旬からワクチン接種の開始を目指しているものの、「ワクチン普及まで、それなりの時間を要すると見込まれるため」(金属製品)との声も出ている。

新型コロナによる先行き不透明感は、設備投資計画にも影を落としている。企業はこの1年、設備投資は抑制せざるを得なかったため、日銀の12月短観でも20年度実績見通しは大企業全産業で前年比1.2%減と、09年以来の減少となりそうだ。反動増が期待される21年度について、今回のロイター調査でプラスと答えた企業29%と3割に満たず、内容も「補修・更新投資」が最多の57%を占めた。「20年に強く抑えた分だけプラスになりそう」(化学工業)などの声があった。

他方で、20年度から横ばいとの回答は45%、マイナスを計画する企業は25%を占め、合わせて7割程度の企業で停滞・抑制傾向が続く。「設備投資は当面見合わせざるを得ない」(サービス)、「コロナ禍で先行き不透明感が強いため、保守的な投資となる」(化学)など慎重な姿勢だ。

株価予想は「横ばい圏」が半数、上昇・下落は見方分かれる

上昇基調にある日経平均株価だが、21年度は「横ばい圏で推移」との回答が54%を占めたものの「上昇傾向が続く」が23%、「下落基調に転換」が24%と見方が分かれた。コロナ終息が見通せない中、金融緩和、過剰流動相場は継続するため、上昇傾向が続くとの見方がある一方で、「実態が伴わず上昇しすぎ」(ガラス・土石)と慎重な見方も出ている。「現在は行き場のない海外資金が流入しバブルの状態だが、21年後半はコロナが沈静化傾向に向かい、資金の投資先が変わる」(食品)として、下落に転じると予想する向きもあった。

21年度に資本性資金の調達を検討しているとする企業は18%にとどまり、その手法は、銀行借り入れが93%と大半を占めた。