[東京 22日 ロイター] – 総務省が22日発表した4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は101.6となり、前年同月比0.2%下落した。2016年12月(同0.2%下落)以来、3年4カ月ぶりにマイナスに転じた。ロイターがまとめた民間予測は0.1%下落だった。
新型コロナウイルスの感染拡大による需要減で、1)原油安によりエネルギー関連価格が下落したこと、2)外出自粛に伴う需要減少で宿泊料が下落したこと、3)高等教育無償化や自賠責保険料の値下げなど制度的な要因──が影響し、コアCPIはマイナスに転じた。
総合指数は前年比0.1%上昇、生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数は前年比0.2%上昇した。
新型コロナでガソリン・宿泊料が下落、生鮮野菜は上昇
原油安を受けガソリンは4月は同9.6%下落と、前月の同0.4%上昇から一転、マイナスに転じた。総務省幹部は「足元で(原油価格)は戻しつつあるが、少なくとも、ガソリン、灯油は5月の結果でも下がるのではないか」とみている。
宿泊料(同7.7%下落)は前月からマイナス幅を拡大。4月には緊急事態宣言が発出され、外出自粛ムードが高まったことで需要がさらに減少した。
その他、高等教育無償化を受けて授業料等(同15.8%)、自賠責保険料の値下げで自動車等関係費(同1.8%)などが下落。
一方、キャベツなどの生鮮野菜は需要の増加により、同11.2%上昇。自宅で料理をするニーズが増えたことが背景にあり「値下げをしなくても売れる傾向にある」(総務省幹部)という。
総務省幹部は「需要が減少したことによる影響、供給面が滞って物価が上がる影響などさまざまな要因があるので、(物価指数が)どういう姿になるかは予測が難しい」とした上で、「今後もしっかり注視していきたい」と述べた。
原油安でコアCPIは当面マイナスか
第一生命経済研究所主席エコノミスト・新家義貴氏は「景気悪化に伴って需給ギャップがマイナスになり、コアCPIには下押し圧力がかかる」と指摘。今後は「足元の原油価格は数カ月後に電気、都市ガス代に反映されることを考えると、コアCPIは当面マイナスが続くだろう」と予測した。