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データで見る流通
初めてのプレミアムフライデーは外食に軍配、買物は1割にとどまる

文=國田 圭作

博報堂行動デザイン研究所
所長

 

 2月24日、初めてのプレミアムフライデーが実施された。事前の報道では導入する企業の少なさを危惧する声が多く、企画倒れになるのではないかと懸念された。では、実際はどうだったのだろうか。直後の2月28日、プレミアムフライデー当日をどのように過ごしたのか、20~69歳の有職者3564人にアンケート調査を行った。

 

 まず、企業の導入率については、10.8%が「勤め先でプレミアムフライデーを実施した」と回答した。また、勤め先がプレミアムフライデーを導入したにもかかわらず「休めなかった」という人は14.8%にとどまった。初回としてはまずまずの導入率だったといえるのではないか。

 

 次に、「勤め先でプレミアムフライデーを実施した」と回答した人に、どのように金曜日を過ごしたのか尋ねた(図1)。

 

 

 いちばん多かった回答は「外食」(30.8%)で、2位以下を大きく引き離す結果となった。とくに20~30代では4割が外食を利用したと回答した。その要因としては、各企業が積極的に来店促進のイベントを仕掛けていたことや、消費者にとって手近で利用しやすかったということが考えられる。とはいえ、もともと月末の金曜は外食の需要が活発化するタイミングなので、そのぶんが下駄をはいた数字になっている可能性はある。

 

 「買い物」と回答した人は10.6%にとどまった。都心部の百貨店や大手総合スーパーを中心に、小売店舗もプレミアムフライデーを対象にしたセールを展開したが、そこまでの効果は得られなかった。時間が増えても自由になるお金が増えるわけではないため、新たな買物需要の喚起には限りがあると考えられる。

 

 一方、「何もしなかった」(14.8%)、「自宅でのんびり過ごした」(11.7%)を合算すると4分の1以上にのぼる。導入前の2016年12月に行った調査(図2)でも3割以上が「自宅でのんびり過ごす」と答えていたのを裏付ける結果になった。年齢別で見ると40~50代の高さが目立つ。

 

 

 今後、「プレミアムフライデー市場」を考えていくときに、こうした「中高年・自宅のんびり派」をどう巻き込んでいくかが大きな課題になる。料理や家飲み、ビデオ鑑賞など自宅で手軽にできる楽しみを提案していくことも必要だろう。必ずしも「プレミアムフライデー=外でお金を使う日」と限定する必要はないのだ。

 

(「ダイヤモンド・チェーンストア」2017年4/1号)