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訪日ラボが教える インバウンド担当者のためのデータの見方
第2回:北海道胆振東部地震はインバウンド消費にどのような影響を与えたのか

9月6日 最大震度7が北海道を襲う:観光業の被害額は356億円と推定

 2018年9月6日、北海道胆振地方中東部を震源とした最大震度7を記録した「北海道胆振東部地震」が発生しました。厚真町の衝撃的な土砂崩れの被害映像とともに、道内全域が停電したり断水したりている様子が、各種メディアを通じて報じられました。

 大きな被害があったのは事実ながらも、被災後1週間あまりで各インフラや流通は復活しており、次に対策すべきは「風評被害」の払拭だとも言えます。特に観光産業は風評被害のダメージが大きくなりやすく、現地では「元気です。北海道」キャンペーンが、政府からは「北海道ふっこう割」制度が開始されるなど、各種対策が始まっています。

 震災発生から丁度一ヶ月が経過した10月6日の発表によれば、宿泊のキャンセルや飲食などの消費の落ち込みも含め、観光業での被害額は356億円に登るといいますが、実際のところ、震災前後で小売店現場のインバウンド消費はどのような推移をたどっているのでしょうか。「購買興味データ」から見ていきましょう。

※「購買興味データ」とはバーコードをかざすと多言語商品情報を表示するアプリ「Payke」を通じたスキャンに関するデータで、これによって購買直前の消費者の動きやプロセスを知ることができます。

北海道地震前後でのインバウンド消費比較①:購買行動のはどのような変化を見せたのか

 まずは北海道地震発生前後のスキャン数の推移を見てみましょう。【図1】は北海道内のドラッグストアに設置された「Paykeタブレット」でのスキャン数の震災前後1ヶ月の推移です。

【図1】

 

 当然のことながら地震発生の9月6日は、スキャン数がほぼ0となっています。地震発生時刻が午前3時ごろであったこともあり、発生当日はまさしく「それどころではない」状況だったことが伺えます。

 しかし、インフラや流通が震災後すぐに復旧したこともあり、スキャン数も9月15日ごろを境に回復傾向にある様子が見えています。

北海道地震前後でのインバウンド消費比較②:国籍比率はどのような変化を見せたのか

 【図2】は、同じく北海道内のドラッグストアでのスキャン数について、言語別に震災前後のスキャン数を比較しています。

【図2】

 上から減少率の大きい言語順になっており、中華圏や韓国など地理的に近い地域は、訪日旅行取りやめの「諦め」が付きやすいのか撤退が早かったようです。一方で英語圏やタイなどは地理的・経済的にも諦めがつきにくいのか、比較的減少率が低めの様子が伺えます。

北海道地震前後でのインバウンド消費比較③:人気商品はどのような変化を見せたのか

 【図3】は、震災前後でスキャン数が伸びた商品の上位を集計したものです。

【図3】

 商品を見渡すと、鎮痛薬などの必需性の高い商品は震災があっても需要が減退しにくいことが伺えます。一方で人気が急落してしまった商品リストを見てみると、皮膚用薬やかゆみ止めなど、特に中華圏インバウンドで大人気だったもの、かつ必需製の低いものが上位に上がっていることから、これらの商品群の消費回復が、震災後のインバウンド消費の復興の指標になっていきそうです。

 北海道は特に中華圏インバウンドにて大きな需要が見込める観光地であったため、今回の北海道地震は10月の国慶節需要に大きなダメージを与えました。しかしながら、趨勢としては順調に回復傾向にあることが購買興味データから伺えます。この需要減退を引き摺り風評被害が長引かないように、今からでも春節需要に向けた積極的なプロモーション展開が重要になるでしょう。

 

【プロフィール】

執筆:訪日ラボhttps://honichi.com/

 「訪日ラボ」はインバウンド総合ニュースサイトとして、2015年にサービス開始しました。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに、国内のインバウンド時事ニュースやインバウンド事例、インバウンドデータ分析、インバウンドソリューションについて日々情報発信をしております。

データ提供:Paykehttps://payke.co.jp/

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