【協賛企業講演】
株式会社セールスフォース・ジャパン
インダストリートランスフォーメーション事業本部小売消費財業界
シニアマネージャー リテールストラテジスト
小川 哲 氏
店舗スタッフの役割を見直すことでECと差別化
「NRF2022」では主に、これからの店舗の役割、顧客情報を活用したパーソナライズ、働き方のデジタル化、メタバース・NFT、多様性・公平性・包括、サステナビリティ、サプライチェーンなどのテーマが語られた。
この中で店舗の役割についてのセッションで、IBMが「店舗スタッフとの会話・相談はECプラットフォーマーとの差別化の鍵となる」とアピールしていた。店舗を利用するのは便利さや楽しさ、スタッフとの会話があるからとの回答が多い。IBMの調査では、顧客の 27%は知識豊富な店舗スタッフに相談したいと考えているという。実際にターゲットでは特定の商品について特化した従業員教育を行っている。つまり店舗スタッフの役割を見直すことがECプラットフォーマーとの差別化につながる。
そのターゲットでは1900ある店舗をフルフィルメントのハブとして活用している。コロナ禍前に実店舗への投資を表明したが反応は冷ややかだった。しかし、それがコロナ禍で成長の鍵となった。店舗をハブとすることでEC倉庫に比べ消費者の自宅への距離が近くリードタイムが短い、店舗在庫を活用するので在庫最適化につながるといったメリットがある。
顧客体験の向上に豊富なデータを活用
ノースフェースはコロナ禍で店舗がオムニチャネルのための重要なフルフィルメントセンターとなった。さらに店舗はメディアとしての役割も大きい。良い場所に店舗を立地するのはスーパーボウルでCMを打つよりも認知度が高まる。来店数や売上だけでなく独自のアルゴリズムで広告効果を数値化したところ非常に高い結果となった。また、店舗はロイヤルティプログラムの会員獲得の場所になる。コロナ禍でデジタル投資ばかりが目立つが、店舗の役割を再定義することも重要だと話していた。さらに顧客情報を活用したシームレスな顧客体験の提供や店舗接客にも取り組んでいる。
ベストバイのセッションでも、顧客体験の向上には豊富なデータを活用したパーソナライズが重要としていた。店員が顧客の好みを知っていて、店舗とネット上で個人に最適化した体験をシームレスに簡単に提供するといった、パーソナライズされた顧客体験が最も有意義で最も記憶に残り、最もロイヤルティを生むと話していた。
フルフィルメント機能としてベストバイの事例を挙げる。ベストバイでは配達スタッフが設置も行っている。配送・設置の際に、おすすめ商品や関連商品などのクロスセルも行う。闇雲に提案するのではなく、特別オファーのメールを開封しているか、Webでどのような商品を見ていたかを事前に確認して判断する。こうした例はベストバイに限らないだろう。ラストワンマイルの配送サービスでは、弊社の「コマースクラウド」「サービスクラウド」「マーケティングクラウド」といったソリューションを活用できる。配送だけでなくCRM情報を活用したアップセル、クロスセルが可能となる。
1 to 1マーケティングでは店舗スタッフのリコメンドが重要
1 to 1のマーケティングの必要性については、店舗スタッフのリコメンドの重要度が97%と非常に高い。しかし現状では21%程度しかできていない。1 to 1の接客が求められるのは、来店予約や店舗取り置き・受け取り、体験イベントや体験施設の参加・利用、GPSやチェックイン機能で会員顧客の来店を検知した場合などだ。1 to 1の店舗接客が適しているのはアパレルやドラッグストア、ホームセンター、百貨店、専門店など。反対に適していないのはコンビニやスーパーなどとなる。
国内のアパレルA社では、アプリで気になった商品を閲覧し、試着を目的に来店予約を入れるとQRコードが添付された予約完了メールが届く。来店時にそのQRコードを店員が読み取ると顧客カルテが示され、過去の接客メモからサイズを確認し、試着予約したワンサイズ上の商品を提案し試着してもらう。その間に顧客情報を確認し、Webの閲覧履歴や来店時には他のニットなど複数の商品を購入することが分かったので、試着している商品に合う他の商品を提案して購入につなげた。退店後には接客メモを追記することで他店舗でも対応することが可能になる。さらにサンクスメールと共にクリーニングサービスも提案するといった顧客の質問に適切に対応することで店舗の役割が高まる。
各プログラムの詳細
下記画像リンクから、各プログラムの詳細をご覧いただけます。