日本百貨店協会が発表した11月の全国百貨店売上高(既存店ベース)は、前年同月比で8.1%増と2カ月連続で前年実績を上回った。新型コロナ感染者数の減少傾向が続いたことで、主要顧客層の外出機会が増え、客数は7.0%増と4カ月ぶりのプラスとなった。
伸びが続く高額品と気温低下で重衣料が好調な衣料品がけん引した。インバウンド(訪日外国人客)需要を除けば着実に回復傾向を示しているが、19年11月との比較では売上高は7.4%減、客数は21.9%減と新型コロナ前の水準には及ばない。
地区別では、10大都市が10.2%増と2ケタの伸びを示した。10大都市を除く地方も2.7%増と6カ月ぶりのプラスに転じたが、大都市との差は前月より2.8ポイント広がった。
商品別では、主要5品目すべてが前年実績を上回った。衣料品は気温低下によりコート、ジャケット、セーター、マフラーなどの動きがよく、10.4%増となった。高級時計を含む美術・宝飾・貴金属は19.4%増と高い伸びが続いている。
食料品は5.3%増だった。自家消費・進物需要とも好調だった菓子が15.8%増となったほか、おせちやクリスマスケーキの予約はEC(インターネット通販)を中心に昨年を上回る勢いで推移した。
先行指標となる東京地区の12月1〜15日の売上高は12.8%増と、さらに回復基調が鮮明になっている。インバウンドを除く売上ではコロナ前を上回る店舗も出てきた。