今年3月、ヨークベニマル(福島県)の新社長に就任した大髙耕一路氏。創業家からの代表就任は実に9年ぶりとなる。前職の伊藤忠商事での長期海外駐在経験を有する同氏は、新体制でどのような経営をめざすのか。親会社であるセブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)のスーパーストア(SST)事業の一翼を担う企業のトップとしても、その経営手腕に注目が集まっている。
7連休取得できる働きたい会社つくる
──社長就任以来、注力してきた取り組みについて聞かせてください。
大髙 社長になってまず社内向けに伝えたことは、「商品を大事にしましょう」ということでした。たとえば鮮魚なら、鮮度の高い丸魚を見てお子さんたちが「魚の名前を覚えた!」と喜べるような売場、精肉なら一目見て「ベニマルだ」とわかるような売場が理想です。そして、お客さまが帰省などで地元に戻ってこられたら、自然と「“ベニマル”に行くか」と口をついて出る、そんな店づくりをめざしています。
──新社長として変えていきたいことはありますか。
大髙 従業員が「働きたい」と思える会社づくりに取り組んでいます。当社の従業員には、親子や兄弟姉妹で働いている方が多くおられます。そういった方々に健康で末長く働いていただきたいですし、若い世代にとっても「働きたい」と思える会社でありたいと考えています。
過日、内定者と昼食を食べる機会があり、「7連休を取得できる会社になろうとしている」と伝えました。内定者に約束した以上、実現する責任があります。朝礼や店長会議でも「健康に気をつけて、休みを取りましょう」と繰り返し呼びかけています。
まだ道半ばですが、ゾーンによっては「マネージャーを除いて下期ほぼ全員が7連休を取得した」というところも出てきました。いくつか好事例が出てきていて、「やってみたらいけますね」という声も聞かれるようになりました。
──とはいえ、世代によっては連休取得に抵抗感を持つ社員もいるのでは?
大髙 世代によってもそうですし、業務の性質上、発注や計画などを他者に委ねにくいマネージャーの中には、「7連休どころか5連休さえ取りたくない」という人もいます。私の父である名誉会長(大髙善興氏)も、「月に1回休みがあればいいほう」という働き方をしていました。
しかし、人手不足が叫ばれる昨今、
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