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バローHD田代正美会長兼CEOが語る「自前主義の理由と大都市圏進出戦略」

2022年6月、社長職を退いたバローホールディングス田代正美会長兼CEOは、製造小売(SPA)というビジネスモデルを磨き上げ、売上1兆円を射程に入れる規模に導いてきた。製造・物流の領域に踏み込むことで流通のコーディネーターをめざす同社が、現在取り組んでいるのが「デスティネーション・ストア」というフォーマットへの転換だ。食品スーパー(SM)を取り巻く環境をどのようにとらえ成長戦略を描いているのか、そして目下心血を注いでいることを、田代会長に聞いた。

人口減を前提に構築した店舗モデル

──人口減少・少子高齢化で小売市場の縮小が見込まれます。食品スーパーの現状をどう見ますか。

田代 チェーンストア理論というのは、人口が増え、経済のパイが大きくなるという環境を前提にしていました。その前提が変わっているのです。かつてSMは距離の近さが店を選択する最大の要素でしたが、より小商圏で成立するコンビニエンスストア(CVS)やドラッグストア(DgS)が食品を強化し業態の垣根がなくなってきたため、近さというSMの優位性が奪われてきました。これが十数年来の傾向でしょう。

田代正美(たしろ・まさみ)
●1977年バロー(現バローホールディングス)入社、79年取締役。84年常務取締役、90年専務取締役、94年代表取締役社長。2015年代表取締役会長兼社長、22年当社代表取締役会長兼CEO(現任)。22年アクトス代表取締役会長(現任)

──SMが勝ち残るために何が必要だとお考えですか。

田代 業態の垣根がなくなるなかでは、他業態や競合他店を飛び越えて来てもらえる店にしていく必要があります。岐阜県はDgSが人口当たりいちばん多いといわれ、SMに最も影響が出た地域です。バローグループはDgSを持つので、その強さ、弱さもわかります。それを踏まえて、バローのフォーマットはどうあるべきか。従来のように標準的な店舗でいいのか、それとも目的指向性の強い店舗にするのか。われわれが出した答えが「デスティネーション・ストア(以下、D・S))というフォーマットです。今後、外部環境が変わらない限り、これでいくしかないと思っています。

──D・S化の進捗状況を教えてください。

田代 現在、

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