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「食のSPA」サンクゼール久世良太社長が語る、急成長の理由とさらなる戦略

洋食商材の「サンクゼール」と和食商材の「久世福商店」の2ブランドを中心に食品の製造・卸・小売の事業を展開するサンクゼール(長野県)。自社で商品開発・製造・小売まで一貫して行うSPA(製造小売)モデルを強みに国内外で支持を広げており、2022年12月には、東証グロース市場への新規上場も果たしている。今後の成長戦略を2代目社長の久世良太氏に聞いた。

ロイヤル顧客の声生かし、さらにファン増やす

──サンクゼールの23年3月期連結売上高は178億円。直近3年で160%を超える成長を果たしており絶好調です。

久世 良太(くぜ・りょうた)
●2002年4月セイコーエプソン入社。
05年4月株式会社斑尾高原農場(現サンクゼール)入社。
11年8月に専務取締役、12年6月に代表取締役専務を経て、13年6月に有限会社斑尾高原農場代表取締役、17年3月にSt.Cousair Oregon Orchards, Inc.(現St.Cousair,Inc.、以下同)取締役、17年5月に株式会社斑尾高原農場代表取締役社長(現任)。
18年6月にサンクゼール代表取締役社長(現任)、St.Cousair Oregon Orchards, Inc.非常勤取締役(現任)

久世 「サンクゼール」と「久世福商店」はともに日常づかいからギフトまで幅広い用途にご利用いただける中高価格帯の商品を取り扱っています。

 業績に貢献しているのは、ブランドのファンづくりの取り組みです。アプリによるポイントプログラムを提供しており、現在の登録会員数約40万人超のうち約2万5000人が所定期間内に一定金額以上を購入される、いわゆる“ロイヤル顧客”です。その方々に毎月アンケート調査を行い、その結果に基づき、お客さまの満足度を向上させる取り組みを2年以上にわたり実施してきました。こうした取り組みを当社では「ファン・ベースド・コミュニティ、ファン・ベースド・マーケティング(FanBased Community, FanBased Marketing)」と呼んでいます。

 私は18年に社長に就任して以来、個々の定番商品のリニューアルに注力してきました。新商品の開発はもちろんですが、定番商品の改良にもロイヤル顧客のお声を反映させることで、「どれを食べてもおいしい」という安心感や、もう1品の追加購入、贈答品の利用、さらにはリピート買いされるロイヤル顧客の増加につながっています。

 サービスにおいてもお客さまの声を参考にしています。たとえば、「ベビーカーでは店内の通路が通りづらい」という声に対して、レイアウトを変更し通路幅を広げました。このようにご不満を解消する、コミュニケーションが十分ではなかった点を修正するといった地道なことの積み重ねがじわじわと効いてきます。

“和食の駆け込み寺”となり、ニューファミリー層を開拓

──なかでも「久世福商店」の既存店売上高成長率は2ケタ成長を続けています。

久世 「 久世福商店」の店舗は、東京・神奈川・大阪地区が3割、残りはそれ以外の都市にあり、いずれも生活圏に近いショッピングモール内に立地しています。そのため、

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