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イオントップバリュ、持続可能な社会の実現をめざしサステナブルな商品を開発

イオンのプライベートブランド「トップバリュ」の開発を担うイオントップバリュでは、持続可能な社会の実現をめざし、消費者に最も近い「商品」を通じてさまざまな取り組みを行っている。なかでも注目すべき4つの事例について、環境推進室室長の宮澤正紀氏に聞いた。

すべてのトップバリュ商品を環境配慮商品へ

 1991年にマイバッグ持参を呼びかける「買物袋持参運動」を開始するなど、いち早く環境への取り組みを行ってきたイオン。2018年には「イオン 脱炭素ビジョン」を掲げ、脱炭素社会の実現に向けた取り組みをスタートさせたが、その一翼を担うべく、トップバリュでは25年までに全商品を環境配慮商品に切り替えようと進めている。

トップバリュが独自に設けた「環境配慮3Rマーク」

 その取り組みの1つである3Rとは、「Reduce(リデュース=削減化)」「Reuse(リユース=再使用化)」「Recycle(リサイクル=再資源化)」を意味するものであり、これら3つのいずれか、あるいは複数に対応して開発を行った商品に、トップバリュ独自の「3Rマーク」をパッケージに表示する。独自のマークとはいうものの、ISO 14021タイプII (環境ラベルおよび宣言-自己宣言による環境主張)に規定される要求事項を満たしていることが取得の条件だ。

 3Rマーク表示の基準は、「化石由来のバージンプラスチックが従来よりも削減されていること」と規定されており、「プラスチックが中身重量比で削減されていること」など、表示基準が細かく定められている。

戦略本部 副本部長
環境推進室 室長
宮澤 正紀 氏

 「ここ数年でお客さまの環境に対する意識が高まっており、私たちも環境問題を優先事項の一つとして商品開発に取り組んでいます」と環境推進室室長の宮澤正紀氏は話す。

 開発した新商品はもちろん、既存商品についても環境配慮の取り組みを進め、パッケージリニューアルなどの折に明文化されたエビデンス(証跡)を確認のうえ、環境配慮の内容について表示する。何をどのくらい削減できたのか、どんなところが環境配慮なのか、消費者にわかりやすい形で伝えようと、パッケージのデザインにも工夫を凝らしている。

 「トップバリュ商品を選んでいただくことで、自然と環境に配慮した活動に参加でき、社会課題の解決に貢献できる。それが私たちのめざすところです」(宮澤氏)

食物アレルギーに配慮した、やさしごはんシリーズを拡充

 食物アレルギーをもつ子どもやその家族にもっと手軽に食事を楽しんでもらいたいとの想いから、トップバリュでは16年に特定原材料に配慮した「やさしごはん」シリーズを開発した。

 「アレルギーを起こしやすいとされる特定原材料を使用していないことを、商品に記載する責任の重みを感じ、シリーズの立ち上げには慎重論もありました。しかし、実際にアレルギーを持つ方から『食べられるものを探したいが、そういう情報を持った商品は少ない』という話を聞き、その声に応えることが私たちの使命だと考えました」(宮澤氏)

 「家族みんなで同じごはんがおいしく食べられますように。」のコンセプトのもと、親子で楽しんでつくれるケーキミックス粉や子供に人気の麺類などを手がけ、リニューアルを重ねてきたが、今年5月、「やさしごはん」シリーズをさらに拡充。

 シリーズ初となる冷凍食品など12品目が新たにラインアップに加わった。以前から保存に便利な冷凍食品への要望は多く、満を持して投入したというわけだ。自然解凍でも食べられるパン3品目に加え、あらびきドッグ、肉まんのほか、お弁当ニーズに対応したミニハンバーグ、ポークウインナー、ミートボールなど多彩だ。

 「日本は自然災害が多く、そうした有事の際において食物アレルギーは大きな課題となっています。支援物資が届いても食べられるものが少ないのです。SDGsの基本原則の一つである『誰一人取り残さない』という理念にも通じた商品だと自負しています」(宮澤氏)

食物アレルギーに配慮した「やさしごはん」シリーズに待望の冷凍食品が登場

左から、「おこめのほのかな甘さもっちりしたパン」©Disney、「ボイルでパリッとあらびきポークジューシーウインナー」、「いろいろな料理にポークミニハンバーグ」

もったいないをおいしく!食品廃棄物・ロスの削減に

「もったいない」を生かして開発した食品に表示される「もったいないをおいしく!」マーク

 17年に「イオングループ食品廃棄物削減目標」を掲げ、新しい技術の導入や販売方法の工夫による食品廃棄物・ロスの削減に取り組んでいるイオン。商品開発を担うトップバリュでも「もったないをおいしく!」をコンセプトに、サプライチェーン全体での食品廃棄物・ロスの削減に向けた商品開発に取り組んでいる。

 その一例が「トップバリュベストプライス おつまみキャベツの素」に代表される合わせ調味料だ。実は、この合わせ調味料の中にはキャベツの芯から抽出して加工したエキスが含まれている。

キャベツの芯から抽出して加工したエキス(中央ガラス容器内)

 「カット野菜などで使用されるキャベツの芯が大量に廃棄されるのを見て、なんとかしたいと考案した商品です。キャベツの芯には食物繊維のほか、栄養成分や旨味成分も含まれていることを生かしています」(宮澤氏)

製造工程で廃棄となるキャベツの芯を活用した合わせ調味料

写真左:「トップバリュベストプライス おつまみキャベツの素」、写真右:「トップバリュベストプライス 青椒肉絲の素」

 ほかにも、加工しづらいサイズや意図せず漁獲したなどの理由で廃棄されやすい「低利用魚」を活用した「トップバリュ もったいないお魚」シリーズを23年4月に発売。消費者からの評判もよく、第1弾、第2弾に続き、今年6月には第3弾として「黒鯛ステーキ(ねぎ塩味/柚子味噌味)」を発売した。

低利用魚を活用した「トップバリュ もったいないお魚」シリーズ

「黒鯛ステーキ(ねぎ塩味)」
「黒鯛ステーキ(柚子味噌味)」

 「低利用魚は身の質にばらつきがあるため、これを解消するために旨味を外に出さない下処理を行い、しっとり感とやわらかさを実現しました。2種の和風ソースで仕上げているので、解凍した後に焼くだけの簡単調理という点も魅力の一つです」(宮澤氏)

ダンボール古紙を有効活用し、トイレットペーパーを開発

 イオンでは資源循環型リサイクルの取り組みを推進しているが、その一環で開発したのが「トップバリュ ダンボールをリサイクルしたやわらかトイレットペーパー」だ。

「トップバリュダンボールをリサイクルしたやわらかトイレットペーパー」

 「そもそもトイレットペーパーは流して終わりなので、紙として最終製品です。しかし、トイレットペーパーの原料として多く使用される古紙は、白さを満たすために印刷用紙などの上質紙が多い。まだ再生の用途があるにもかかわらず、トイレットペーパーに混ぜ込むのは資源の無駄ではないかと思い至りました」(宮澤氏)

 そこで着目したのがダンボールだ。ペーパーレス化やテレワークの浸透により、印刷用紙の回収量は減っているものの、インターネット通販の拡大により、輸送時に使用されるダンボールは増えている。紙資源を無駄なく使うことを目標に、トップバリュでは国内のプライベートブランドでは初めてダンボール古紙原料を50% 以上使用するトイレットペーパーを開発し、今年5月より期間限定で販売を開始した。気になる肌触りについては、リサイクル原料の配合や抄紙工程(紙を抄すくための工程)時の技術により、やわらかな品質を実現。無漂白とすることで自然な色合いに仕上げている。

近年のインターネット通販の拡大などでダンボール古紙は急増

 「私たちが開発したサステナブルな商品を選んでいただくことで、環境や地球の未来について少しでもお客さまに考えてもらえたらと願っています。これからもトップバリュでは、限りある資源を大切に使いながら、環境に配慮した商品開発を続けてまいります」(宮澤氏)