組合員同士が出資金を出し合い協同運営する生協は、国内でサステナビリティ施策に先進的に取り組む組織の一つだ。そんな生協が、5月から全国の地域生協で同時期にサステナビリティ施策に取り組む、初の試みとなるプロジェクトをスタート。スマホアプリや動画を活用し、組合員が環境問題を学び、具体的なアクションにつなげてもらうための工夫が随所に凝らされている。
ヒアリングで挙がった課題、現場に寄り添う企画設計
全国の生協の連合会である日本生活協同組合連合会(東京都/土屋敏夫代表理事会長:以下、日本生協連)は5月23日から、持続可能な世界の実現をともにめざす仲間を増やすプロジェクト「コープサステナブルアクション」を始めている。
同プロジェクトは、日本生協連が全国の地域生協に呼びかけるかたちで立ち上がった。これまでも地域単位ではサステナビリティに関するキャンペーンなどは行われてきたが、全国の地域生協が共通して取り組めるものは今回が初となる。
なぜこのようなアクションが立ち上がったのか。生協では「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉が今ほど社会の中に広がる以前から、持続可能な社会をめざすビジョンを掲げてきた。1997年に策定された「生協の21世紀理念」には「自立した市民の協同の力で人間らしいくらしの創造と持続可能な社会の実現を」との一文が刻まれている。
各地域生協でも、サステナビリティに関連するさまざまな施策が実施されてきた。たとえば京都生協では2021年度、京都市と連携協定を結び、エシカル消費の普及促進にかかわるイベントを開催している。
ただし、多くの生協では、組合員にサステナブルな活動に参加してもらうことの難しさを感じていた。
日本生協連サステナビリティ推進グループの新良貴泰夫グループマネージャーは、「各生協の担当者へのヒアリングでは『サステナビリティにかかわるさまざまな企画を考えるものの、組合員はサステナビリティを難しいものと認識しており、積極的な参加が得られにくい』という声が多かった。しかし、サステナビリティは本来、日常の暮らしと密接に結びついているもので、今すぐできることは多くある」と話す。
そこで地域生協の取り組みを後押しし、生協のサステナビリティ施策の底上げを図ることが同プロジェクトの大きなねらいだ。
同プロジェクトの準備にかけた期間は約半年間。企画ではとくに、現場の声を積極的に取り入れることに力を入れた。
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では、具体的なアクションの内容を見てみよう。同
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