「冷凍のパン」がなぜ選ばれるか
かつてマーケティングの世界で「ロハス※1」「スローフード※2」「フェアトレード」といった単語を創った人は天才だと思う。偉大な発明といってもいい。
というのも、そういった言葉は、特定の商品を「購入すること」にお墨付きを与えたからだ。その商品を買い求めることが正義であり、世界をよりよくすることにつながるといった肯定感を消費者にもたらし、消費の意味そのものを鮮やかに逆転させた。つまり商品を「積極的に選択する」という購買行動を生み出したのである。
今日では、SDGs(持続可能な開発目標)が企業活動の前提となっており、各社はさまざまなゴールとターゲットを掲げてSDGsの達成に向け動いている。流通・小売ビジネスでは、持続可能な社会を構築するために「廃棄物等の削減」を主要目標の1つとするケースが多い。実際、これだけ円安とエネルギーコストの高騰で食料価格が上昇しているにもかかわらず、日本では多くの食料が恒常的に捨てられているという現実がある。
そこにきて話題になっているのが、「冷凍パン」だ。常温では経時劣化が早いパンだが、あらかじめ冷凍で販売すれば保存性を訴求できるし、何より廃棄ロスの削減に直結する。さらに消費者に対しては前述したように、「冷凍パンを選択したほうが地球環境をよりよくできる」という観点から、積極的に冷凍パンを選択するという購買行動を促すことができる。
これに関連して、「リベイク(焼き直し)」を機能の1つとして打ち出すオーブンも増えてきた。「バルミューダ」や「ツインバード」といった高級家電メーカーの商品もヒットしている。こうしたオーブンは、
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。