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ついに始動!「トライアル西友」の強力タッグは日本の小売をどう変えるのか?

「TRIAL GO」、東京進出

 11月7日早朝──。東京都杉並区、JR中央線「西荻窪」駅近くの細い路地に、メディア関係者が押し寄せた。TVカメラだけでもおよそ10台。その異様な光景に、通りがかりの通勤・通学客が驚きの視線を向けていた。取材陣が待ち構えていたのは、「TRIAL GO西荻窪駅北店」の開店。トライアルの小型フォーマット「TRIALGO」の東京1号店である。

この記事のキーポイント

  • トライアルの小型フォーマット「TRIAL GO」は、最小50坪程度のコンビニサイズで、即食・簡便商品を中心に生活必需品を揃えている
  • 店舗オペレーションは顔認証付きセルフレジや遠隔管理システムなどの最新デジタル技術で高度に効率化させている
  • 西友買収の大きなねらいは、西友の店舗網を手に入れ、首都圏でのグループシェアを一気に向上させることである

2社の力を結集した新フォーマット「TRIALGO」と「トライアル西友」の出店は、首都圏の勢力図を大きく塗り替える可能性をはらむ

 同フォーマットはここ数年、福岡県福岡市を中心に実証実験が行われてきた。売場面積は最小で50坪程度の“コンビニサイズ”で、実際にコンビニエンスストア(CVS)の居抜き出店の実績もある。店内には厨房はおろか、バックヤードと呼べるようなスペースもほとんどない。

 商品は近隣にあるトライアルの主力フォーマット「スーパーセンター(SuC)」の店舗や、プロセスセンター(PC)から1日に複数回供給。トライアル名物の「ロースかつ重」や「たまごサンド」をはじめとする総菜のほか、寿司や海鮮丼、スイーツ、レンジアップの鍋物など、即食・簡便商品を中心に品質の高い商品を手頃な価格で販売する。このほか生鮮食品やプライベートブランド(PB)を含む非食品も揃え、小型店ながら生活必需品の買物がほぼ完結するのが強みだ。

 一方、店舗オペレーションはトライアルが得意とする最新のデジタル技術の活用により、高度に効率化されている。レジは顔認証機能付きのフルセルフレジを導入、遠隔店舗管理システム「Retail EYE」による店内モニタリング、店内サイネージによる販促などにより、「30人時」での運営を可能としている。

 競合となるのはCVSや小型スーパーなどだが、価格・品質・品揃え・運営効率の優位性は高い。福岡では消費者の反応も上々で、なかには大手CVSの平均日販を軽く超える日商をたたき出す繁盛店も生まれている。

 とはいえ、福岡市内という局地的な展開だったため、「TRIAL GO」が全国区で注目を浴びることはなかった。にもかかわらず、トライアルへの認知自体が少ない東京で、「TRIAL GO」の開業がこのようにセンセーショナルに報じられたのにはワケがある。

西友買収はあくまで「起点」

 西荻窪の「TRIAL GO」開業から遡ることおよそ8カ月。今年3月初め、トライアルが西友を約3800億円で買収すると発表し、業界に激震が走った。2社の売上を単純合算すると1兆3000億円超。小売業界全体で大小さまざまな再編劇が連発していた中でも、この一大小売グループの誕生は話題をさらった。

 トライアルによる西友買収のねらいはいくつか挙げられるが、何よりも、

この記事をさらに読むと、トライアルグループが持つ最新デジタル技術を駆使した効率的な小型店の仕組みや、西友のインフラをどのように活用して競合ひしめく首都圏での勢力図を塗り替えようとしているのか、その具体的な戦略と課題について理解することができます。

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