米国スーパーマーケット(SM)業界では、長らく続くインフレに伴う消費者の価格志向を反映し、ディスカウントSMが勢いを増しているが、各地を地盤とするリージョナルSMはきっちりと市場シェアを守り、むしろ出店攻勢をかけている。その原動力は何か?
リージョナルSMの現在地
コアサイトリサーチ社※1によると米国の食品小売販売市場規模は2024年1兆5000億ドル(1ドル150円換算で約225兆円)、成長率は23年の対前年比3.9%増から低下し、1.1%増となる見込みである。
インフレは収まりつつあるものの3~4年前より物価は高い水準にとどまっており、消費者が価格志向を強める結果、トップ10社はウォルマート(Walmart)、コストコ(Costco Wholesale)、ターゲット(Target)、ダラーゼネラル(Dollar General)など、ディスカウントストア(DS)をはじめとする「低価格」を前面に押し出す企業が上位を占める。
一方でクローガー(Kroger)などの伝統的SMの市場シェアは17年の69.7%から22年には66.6%に低下している。
※1:‘ Market Navigator: US grocer y Retailing’, 2024年6月
そうしたなか、市場シェアの動向を見る限り、リージョナルSMはDSやディスカウントSMなどに対してよく守り抜いている。ニューメレーター社が、オンラインとオフラインを合わせたグロサリーの企業別マーケットシェアを算出した興味深い調査結果を出しているので少し紹介したい。
1位はウォルマートでシェア率23.6%、2年前比で1.7ポイント(pt)アップさせた。3位のコストコは9.2%で同0.4pt増。
合併が予定されている2位クローガーと4位アルバートソンズ(Albertsons)はそれぞれ10.1%と6.4%で、過去2年間で各々1.1ポイント、0.1ポイントシェア率を下げ、24年春には合併承認を加速するために18州579店舗を売却したのでさらに市場シェアが下がる見込みだ。
シェア率4.6%のアホールドデレーズ(Ahold Delhaize)も同0.4ポイント下がっている。
他方
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