個店経営の「オンリーワン戦略」
日東物産の創業は1962年、「あずま商店」として味噌やしょうゆなどの食料品を販売したのが起こりだ。70年代に現在の屋号「スーパー日東」へ変更するとともに本格的な食品スーパー(SM)を出して以降、徐々に商いを広げている。
とはいえ現在、同社が展開するのは松山市内にある5店舗のみ。売場面積は60坪から500坪と多様である。
一方、競争環境に目を向けると、松山エリアでも他の地方都市と同様、厳しさが増す。有力なSMがしのぎを削るほか、近年は食品を積極的に扱うドラッグストア(DgS)、DSといった異業態も台頭。とくに大手資本の存在感が高まっている。
こうした状況にあり、店舗数から判断すると弱小と言える日東物産は、さぞ厳しい戦いを強いられているのではないかと想像するが、まったく違う。
同社の店舗はすべて繁盛し、連日、多くのお客でにぎわう。驚くのは、5店舗のうち3店舗は、年商20億円以上であることだ。
そんな同社が掲げるのは「オンリーワン戦略」である。
本部主導の画一的な店舗運営ではなく、各店各様の個性的な品揃えと売場づくりを行うのが特徴。各店がそれぞれ独自で仕入れ、値付けし、販促を打つ裁量が与えられている。そのため販売しているものはまちまちで、同じ商品でも、価格が違うこともザラだ。
こうしたユニークな戦略を取れるのは、同社が「食品市場で『地場DS』の位置にあるからだ」と服部社長は言う。
どういうことか?
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