セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)がグループの強みを集結し、シナジー創出を図る新たな取り組みとして注目される「SIPストア」。2月29日、千葉県松戸市に開業した1号店「セブン-イレブン松戸常盤平駅前店」では、社会構造のシフトに伴う消費ニーズの変化に対応するべく、さまざまな実験と検証を行っている。開業後、見えてきた傾向や今後の展開を取材した。
部分最適と全体最適の2軸で実験・検証を行う
セブン-イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長:以下、セブン-イレブン)とイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)がパートナーシップを組み2022年8月に発足した「SEJ・IY・パートナーシップ」(通称SIP)。両社のシナジーの最大化を図ることを目的に、「商品サービス」「販売促進」「オペレーション」「データ連携」の4つの部会を組成。商品やサービスの相互供給や、アプリを通じた相互送客などの販売促進などを行ってきた。そうしたなか新たな構想として、コンビニエンスストア(CVS)と食品スーパー(SM)の強みを融合した新コンセプト店舗「SIPストア」の構想が上がった。
背景には、セブン-イレブンの現在のフォーマットが次世代では通用しなくなるのではないかという危機感があった。人口減と少子高齢化が進むなか、ワンストップショッピングのニーズが高まるほか、中食市場にドラッグストア(DgS)も参入するなど競争が激化している。セブン-イレブン・ジャパン企画本部みらい事業創造部部長の山口圭介氏は「商圏内にさまざまな競合の存在があるなか選ばれる店になる必要がある。そこでグループの力を活用すれば、新たな仮説が生まれ、シナジーも発揮できるのではという考えにいたった」と振り返る。
ただし、SIPストアの目的は、多店化のための新業態開発ではない。ここでの成功事例を全国2万1000店超の加盟店に水平展開していくことにある。次世代のCVSの在り方を模索し、取り込めていない潜在ニーズの開拓に向けた実証実験の場と位置づけている。実験の方向性は大きく2つで、1つは、
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