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健康志向が後押し?スイーツ開発で注目の素材「ピスタチオ」と「焼き芋」

ピスタチオや焼き芋などを素材にしたスイーツが注目を集めている。「ピスタチオグリーン」と表現される、鮮やかな緑色と深い味わいがクセになるピスタチオ。老若男女幅広い層に愛され、ほっとする甘さと郷愁を感じさせる焼き芋。これらの特徴を生かしたさまざまなスイーツが登場している。人気の背景やヒット商品のポイントとはーー。(「Food Clip」編集部)

人気の秘訣は「映え」と「健康志向」

ピスタチオは「ピスタチオグリーン」とも呼ばれる鮮やか色がSNS映えすることも人気の理由だ

 ピスタチオが広く注目されるようになったのは2019年頃から。以前からピスタチオを使用した商品はあったが、メディアが「次に来るスイーツブームの新たな食材」として、取り上げるようになったのがここ最近のことだ。

 人気を加速させたのは、SNS映えするファッション的要素も影響している。鮮やかな「ピスタチオグリーン」という色がトレンドになり「#ピスタチオグリーン」とハッシュタグ付きの投稿が多く見られるようになった。

 ピスタチオは、濃厚で他のナッツにはない香ばしさが特徴。見た目の華やかさとリッチな味わいがスイーツにもぴったりだ。また、ビタミンやミネラル、良質な脂肪分が豊富に含まれ、昨今高まる健康ニーズに対応している点も人気を後押している。

 これらの理由から人気に火がつき、「無印良品」のピスタチオを生地に練り込んだ「ピスタチオとバニラのクッキー」や、「DEAN & DELUCA」のローストして砕いたピスタチオを混ぜ込んだ「ピスタチオクリーム」など、人気チェーンも続々と商品を開発し、いまや主役級の商品に育っている。

機械や品種の進化が
焼き芋をアップデート!

 もう一方の人気素材「焼き芋」は、従来とは異なる進化したスイーツが話題を集めている。

 焼き芋は約300年にわたって親しまれてきた長い歴史を持つ。江戸時代の第1次ブーム、明治時代から関東大震災にかけての第2次ブーム、1970年代の第3次ブームを経て、現在は第4次ブームと言われており、焼き芋を使ったスイーツの専門店やポップアップショップが続々とオープン。ホクホクと自然な甘みが味わる焼き芋そのものはもちろん、「焼き芋ラテ」や「焼き芋パフェ」など、さまざまなアレンジを加えた進化系スイーツが登場している。

現在は「焼き芋」にアレンジを加えた進化系スイーツが話題を集めている

 焼き芋スイーツのブームには、3つの背景がある。

 1つめは、「さつま芋の品種が増え、焼き芋自体ががブームになったこと」だ。

 2000年以降に「安納芋」や「紅はるか」「シルクスイート」などの“ねっとり”とした食感の品種が登場。これらはとろけるような柔らかさと際立つ甘さが魅力で、品種ごとの特性を生かしたさまざまな焼き芋をラインナップする店も増えている。

 2つめは、「焼き芋の機械や技術の進化」だ。

 遠赤外線を利用した焼き芋オーブンの登場により、食品スーパーやコンビニなどでも焼き芋が販売されるようになった。その後、焼き芋専門店も次々に登場し、さらに進化系焼き芋スイーツは見た目のかわいらしさも相まって、流行に敏感な若い女性たちに愛される存在になったのだ。

 3つめは、新型コロナウイルス感染拡大下で健康志向がさらに高まるなか、「天然の素材を中心に使ったスイーツ」という点が支持されたことだ。甘みがありながらも、ヘルシーで栄養価も高い。そのため、食べた際の罪悪感がなく、満足感も得られる。

専門店、大手チェーンに学ぶ
焼き芋スイーツ開発

 では、商品開発のヒントに、人気の焼き芋スイーツを紹介しよう。

人気専門店「つぼ焼いも岐阜総本舗 幸神」の「壺芋ブリュレ」

 まず、岐阜県大垣市にある人気専門店「つぼ焼いも岐阜総本舗 幸神」の「壺芋ブリュレ」だ。蜜がしたたるほど柔らかいに焼き芋にカスタードが詰め込まれた逸品で、素材に壺を使って焼いた「壺焼き芋」を使用しているのが特徴だ。「廃ビルを行列店に変えた」と話題になっている。

 芋スイーツ専門店「高級芋菓子しみず」は、「​​贅沢芋パフェ」や「焼き芋プリン」など、さつま芋いもそのものの味を生かした商品開発で、店舗数を広げている。 

 さらに、スターバックス コーヒージャパンは、2021年秋にドリンクからソース、トッピングにまで焼き芋を使用した「焼き芋 フラペチーノ®」を発売。コンビニのセブン-イレブン・ジャパンは、素材の味わいを再現した「まるで」アイスバーシリーズの新作に「まるで濃密芋」を投入するなど、大手チェーンの商品開発からも焼き芋への注目度の高さがうかがえる。

可能性広がる期待の素材

 今回紹介した注目素材「ピスタチオ」と「焼き芋」。ピスタチオは、スイーツ好きの女性や健康意識の高い層を惹き付けてすでに食材としての認知度も高まっている。

 焼き芋は、時代とともに進化を遂げ、現在は新たな魅力が引き出されている。豊富な品種にトッピングなどのアレンジを加えてさまざまな楽しみ方ができる点も、人気を後押ししている。

 ともに今後さらに商品開発が進み、定番として根付いていくことも想定される、期待の素材と言えるだろう。


【媒体紹介】


食のビジネスメディア「FoodClip(フードクリップ)」
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