新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大による外出自粛生活やリモートワークの普及の影響を受け、駅や公共交通機関の利用者が大きく減少している。そうしたなか電鉄系の食品スーパー(SM)各社には、従来とは異なる店づくりや提案が求められている。電鉄系SM最大手である東急ストア(東京都)の須田清社長に、直近の取り組みと今後の成長戦略を聞いた。
健康を4つのテーマで訴求「栄養プラス」が好調
──コロナ禍での業績はいかがですか。
須田 コロナ禍が追い風となっている点は一般的なSMと同様です。しかし、電鉄系SMである東急ストアは、駅前に多く店舗展開しているため、駅利用者の激減を受けて、既存店客数は2021年2月期が対前期比88%、22年2月期上期(3月~7月までの合計:以下同)が同91%と減少しました。結果、21年2月期の会社トータルの売上高は同101%とSM他社と比較すると伸長率は限定的でした。
ただ、既存店客単価についてはまとめ買い需要もあって21年2月期は同116%と伸長しました。直近の22年2月期上期は前期の反動もあって同95%となりましたが、20年2月期同時期と比較すれば同113%と伸びています。
──消費者の買物行動の変化は感じられますか。
須田 先行きの見えない経済状況で消費者の節約志向は高まっています。一方で、外出自粛生活で旅行や外食に行けないなか家庭の食事に楽しみや価値を求める傾向も見られます。そうしたなか価格訴求のみにフォーカスするのではなく、豊かな食卓をいかに提案できるかが現在の店づくりの大きなポイントです。客数が減少するなかでは、客単価を向上させる必要があり、客単価を構成する「買い上げ点数」「1品単価」の双方を上げていくことが重要だと考えています。
──具体的にはどのようなことに取り組んでいますか。
須田 コロナ禍で高まっている、「健康」ニーズに応える店づくりです。
21年2月期からは
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