生鮮食品の強烈な価格訴求により、圧倒的な集客力を誇るロピア。看板部門の精肉、強烈な安売りの青果に目がいきがちな同社だが、実際に店舗を訪ねてみると鮮魚売場も常にお客でにぎわっていることがわかる。ロピアの鮮魚部門はどのようなコンセプトのもと、商品・売場づくりを行っているのか。食品スーパー(SM)の鮮魚部門の業績改善で多数の実績を持つ鮮魚の専門家、アイエスアイコンサルティングの塩川史大氏が解説する。
ボリューム感あふれる商品と絞り込まれた品揃え
今回、ロピアの鮮魚部門の強さを探るため、調査対象としたのは関東エリアの大型店「ロピアららぽーとTOKYO-BAY店」( 千葉県船橋市:以下、ららぽーとTOKYO-BAY店)だ。2021年9月上旬の平日に同店を訪ねてみた。
同店の鮮魚売場を観察して、まず印象的なのはボリュームを意識した品揃え、売場づくりをしているという点である。商品にフォーカスしてみると、どの商品も量感にあふれているが、これらは単なる「大容量」というだけではないという点に注目してみたい。たとえば切り身や寿司ネタは、いずれも「厚切り」にしており、食べたときに高い満足感を得られるようにしている。
その一方、取り扱いアイテムについては絞り込んでいる。1つの魚種の展開に注目すると、どれも売場には2~3アイテムほどしかなく、売れ筋のマグロですら4~5アイテムほどしかない。一般的なSMでは、マグロやサーモンといった人気の魚種は、多くのSKUを用意するなどきめ細かな品揃えとすることで、幅広いニーズに応えるのが常である。ロピアは他社とは違う思い切った販売スタイルに挑戦しているのが窺える。
これは品揃えを絞ることで、ロスを減らすというねらいがあるとみていいだろう。鮮魚売場の人気商品とされる握り寿司も、調査時は約15アイテムしか揃えていなかった。ロピアの既存レギュラー店よりもやや多いラインアップかもしれないが、ららぽーとTOKYO-BAY店が大型店ということを踏まえると、最低限の品揃えといっていい。通常、売れるカテゴリーであればアイテム数を増やしてもいいようなものだが、ロピアでは絞り込みが徹底されているのだ。
これは違う見方をすれば、ロピアは生産性の高い商品を
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