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ミニストップ、イオングループ店舗へ商品供給を増やすねらいは?【21年度下期商品政策】

ミニストップ(千葉県/藤本明裕社長)は9月15日、2021年度下期商品政策発表会を実施した。21年、「食事のデスティネーションストア化」を掲げ、商品改革に上期取り組んできたミニストップ。上期の結果と下期政策をまとめた。

コロナ前の水準にあと一歩まで回復

 3月に行われた21年度商品政策発表会で、ミニストップが政策の柱として掲げたのが「食事のデスティネーションストア化」だ。デスティネーションストア化とは、「目的買い」の店を指し、食事を購入する場所としての立ち位置を明確にすることで来店頻度の向上を狙った施策。この施策には、コロナ禍によって内食化が進み、コンビニエンスストア(CVS)業界全体が苦境に立たされたという背景がある。
ミニストップはこれを打破する策として、高付加価値の弁当・総菜や、得意のインストアスイーツの強化で、「(他の店ではなく)ミニストップに行こう」という意識を顧客に持ってもらおう、という方針を上期に打ち出した。

 その結果上期実績は、コロナ以前である2019年の売上とほぼ同じ水準まで回復を見せた。8月は記録的な大雨の影響で対19年比売上93.2%に留まったが、4〜6月には同98%台、7月には同99.2%とあと一歩というところまで迫った。昨対比売上ではCVS大手3社と遜色ない数字が続いており、7月には得意のコールドスイーツの伸びによるものか、108.4%と大手3社を上回った。

 商品カテゴリー別の売上前年差ランキングでも、弁当、店内調理総菜及び飯類と上期注力したカテゴリーが上位5位内にランクイン。ミニストップが上期掲げた政策は着実に成果を挙げていると見てよいだろう。

人気シリーズをさらに展開

 藤本明裕社長は、「業界内で(コロナ禍からの)最も早い立ち直りをめざす」と話し、下期も引き続いて「食事のデスティネーションストア」実現へ向けた取り組みを強化する方針を打ち出した。具体的な施策は次の通りだ。

 まず米飯デリカの強化では、上期に高付加価値弁当として人気を集めた「やみつキッチン」シリーズを成功モデルとし、他カテゴリーの商品の強化につなげる。「やみつキッチン」シリーズは、味だけでなくボリューム感や特別感を重視し、原価構造から見直すことで手軽な価格で高付加価値を実現したシリーズ。弁当類の数値改善に大きく貢献したとみられ、この成功体験をブラッシュアップし、調理パンやスイーツ、サラダなど別のカテゴリにも手法を展開する。

 また、上記の「やみつキッチン」シリーズや、人気のソフトクリームを他カテゴリーに転用したオリジナル商品の開発にも注力する。例えばソフトクリームを、「ソフトクリームみたいなパン(ベルギーチョコ入りクリーム)」(税込138円)などの菓子パンや乳飲料、菓子へ展開、「やみつキッチン」シリーズの冷凍食品おつまみの発売など、ミニストップの人気商品を活用した商品を多数発売する。

イオングループの強みを生かした施策も

 イオングループ傘下の強みを生かしたブランド認知向上と、商品強化も実施する。具体的には、上期はグループ内の食品スーパーへ、ミニストップブランドの乳飲料や菓子類を供給。顧客への接点を増やすことで来店の動機づけとしたい考えだ。下期はさらに取り扱い事業会社の拡大をめざし、上記のソフトクリームや「やみつキッチン」シリーズを展開した商品の供給も視野に入れる。

 他方、ミニストップ店舗ではイオンのプライベートブランドである「トップバリュ」の取り扱いを拡大する。コロナ禍で注目の集まったプロテインバーや、代替肉製品など健康軸での強化と、節約思考への対応がねらい。とくに、ブランドコミットメントの低い商品で積極的に導入し、店舗利益の改善につなげる。

 ほか、店内調理弁当の販売店舗拡大や、イオンの電子決済「WAON」が利用可能なミニストップアプリの提供による利便性向上なども実施する。スイーツ関連の面白い取り組みとしては、来年4月に導入見通しのプラスチック製使い捨てスプーンなどの有料化に備え、「スイーツ用食べられるスプーン」を開発中だという。詳細はまだ未公表だが、「商品価格への転嫁などは起こらないようにしたい」とミニストップ取締役 商品本部長の仲澤光晴氏は話した。

ついにパートナーシップ契約開始、下期の動向は?

 下期の消費動向について仲澤氏は、「リベンジ消費や特需がやってくると予想する考えもあるが、現実には地域や年代、生活スタイルによってそのタイミングは個人で異なり、不透明」との見方を示す。その中でカギになってくるのは、日常使いへいかに対応するかや、健康訴求の向上で、「顧客を刺激する商品を発信する」(藤本社長)こととした。

 9月には、ミニストップがかねてより進めてきた「パートナーシップ契約」もスタートした。これまでの経費や人件費の負担増を加盟店側が背負う、いわゆる「コンビニ会計」からの脱却を目指すもので、店舗収入からまず必要経費を差し引き、残った利益を本部と加盟店が分け合う仕組み。今後は契約更新のタイミングで順次パートナーシップ契約への更改を進め、より加盟店が売上を上げられるよう商品の投入量を増やしたり、セルフレジ・セミセルフレジの導入で人件費を削減したりといったサポートを強化する方針だ。

 独自商品の強化で、着実にコロナ禍の打撃から立ち直りつつあるミニストップ。下期の動向にも注目したい。