営業企画担当者不在の弊害
数あるチェーンストア志向フォーマットのなかでも遅れて競争に突入した食品小売業。将来的にここで勝ち抜いて生き残れる企業は10社に満たないはずである。すでに勝敗が決しているアメリカチェーンの場合、年商1兆円以上の食品小売業は12社である。
一方の日本には1兆円超えの企業はまだない。5000億円以上が3社のみである。競争は始まったばかりなので5000億円未満、1000億円以上が28社もあるが、今後M&A(合併・買収)が繰り返されて企業数は次第に減少すると予測できる。つまり優良企業による寡占化が進行するのである。
競争に勝つためには、お客を満足させながら無駄のない品揃えを維持し、適切な粗利益高を確保することと、ローコストオペレーションのシステム構築が欠かせない。チェーンストアは売れなくても儲かる店をめざすのだ。最大限の経費をかけて売上高を高め、その回転差資金で新規出店を続けるというこれまでの規模拡大手法は、オーバーストア化のため継続できないのである。
直近の課題は、①短期特価特売を多発するハイ・アンド・ロー販売から、ローコストオペレーションを可能にするEDLP(エブリデー・ロープライス)の価格政策へと移行すること。つぎに②従来型の広く浅い品揃えから、客層が広く購買頻度の高い品種・品目に集中すること。そして③その中から選んだ重点販売品目を他社に先駆けて低価格化すること。そのために④自社ブランドの開発を進める。⑤店段階の業務・作業を大幅に削減するために、センター化とその自動化を進めることである。これらの改革を徹底すれば競争の渦の中でも多店化できる。
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