食品小売業界では、2~3年ほど前からプロセスセンター(PC)の導入がすすめられており、足元では大手食品スーパー(SM)のPC導入が一巡、商品供給が軌道に乗りつつある。コロナ禍において商品の安定供給で効果を発揮したPC。今後、食品小売におけるPC活用はどのような方向にすすんでいくのか。SMへのPC導入に多数の実績を持つPCのプロフェッショナル、平井カンパニーに食品小売におけるPC活用の最新動向を解説してもらった。
大手SMの導入が一巡中堅ローカルもPC活用へ
かつてない人手不足が課題となる中、人手のかかる加工作業などを集約し、生鮮食品を店舗へ安定的に供給するための製造体制を整備する、というねらいのもとSM業界では2~3年ほど前からPCの導入がすすめられてきた。2020年にはその多くが稼働、6カ月~1年かけて商品の供給量が徐々に増え、ようやく軌道に乗りつつある。PC建設・運営に多数の実績を持つ平井カンパニー(東京都)の平井智樹社長は、SMでのPC活用の現状について「投資余力があり、店舗数の多い大手SMでは、PCの導入が一巡した。最近は、地方の中堅SMからPC導入に向けた相談や問い合わせが増えている」と語る。
人口減少の一途をたどり、高齢化が著しい地方都市では、若年層を中心に労働力人口が減少し、今後さらに深刻な人手不足が見込まれる。たとえば、精肉部門では、従来、シンプルな機械と職人の熟練した技能やスキルによりインストア加工が行われてきたが、職人が高齢化し、その技能やスキルを継承する若手人材が十分に育成されていないことから、PCへの移管を検討するSMがみられるようになってきた。平井氏は「コロナ禍によってSMの人手不足が一時的に解消されたが、国内の将来推計人口を鑑みると、恒久的な好転は望めない。精肉部門を中心にPCの導入がすすむというトレンドは今後も続くだろう」と予測する。
精肉はPCが最も普及している部門だ。牛肉、豚肉、鶏肉といった畜種、スライス、ミンチ、味付けなどの加工方法も限られているため、PCでの集中加工に向いている。「差別化したい国産牛肉はインストア加工で」といった具合に、企業の考えに応じて、PCとインストア加工を使い分けるのが現在の主流となっている。職人が精肉をスライスしている様子を売場で来店客に見せてライブ感を演出したい、というニーズも根強い一方、
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。