2020年10月、ファミリーマート(東京都)初のチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)として足立光氏が就任した。日本マクドナルド在籍時には「夜マック」を提唱し同社のV字回復に貢献するなど日本を代表するマーケターとして知られる人物だ。入社からおよそ半年ですでに多くのヒット商品・企画を連発し注目を集めている。そんな足立氏に現在ファミリーマートで推進中のマーケティング戦略について聞いた。
話題にならなければ商品は売れない
──P&Gジャパンや日本マクドナルドなどを経て、ファミリーマートのCMOに就任されました。他の業種と比較して、小売業のマーケティングをどのようにとらえていますか。
足立 CVSと他業種との違いを挙げるとすると、商品カテゴリーの幅が広いため、客層や来店目的もさまざまで、それゆえ事業が広範囲かつ複雑である点でしょう。
しかし、マーケティングを行ううえで他のビジネスとの大きな違いはないと思っています。どの事業でも商品やサービスにおける差別化と、お客さまに与える印象が大切である点は同じです。また、事業のなかでもとくに「定番」が重要である点も変わりません。CVSでは、新商品が発売されると定番商品の陳列が店頭からなくなることがあります。これは明らかに優先順位が違うと感じていました。
定番商品には少なくとも3つのメリットがあります。まず、必ず置いてあるので、お客さまがせっかく来店したのに商品がないと失望することがありません。これは来店動機につながります。2つ目は収益性がよいことです。そして3つ目は経営が安定する点です。定番商品のファンが増えると、売上の変動が抑えられ、製造ラインが安定しサプライチェーンが効率化します。ですので、当社では現在、定番商品の販売強化に取り組んでいます。
──同時に新商品も積極的に投入しています。
足立 はい。とくに開発を進めている中食のプライベートブランド(PB)では、新商品は次の5タイプにわけられます。1つめは
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