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ヤマザワ21年2月期決算、大増益で一気に黒字化へ 21年は「価値戦略」で魅力ある店づくりをめざす

山形県を中心に食品スーパー(SM)およびドラッグストア(DgS)を展開するヤマザワ(山形県/古山利昭社長)は4月27日、2021年2月期の決算説明会を実施した。コロナ禍による内食需要の高まりなどを受けて、通期連結決算は増収増益での着地となった。

増収増益、一気に黒字化へ

 ヤマザワの21年2月期連結決算の内容は、営業収益1129億3800万円(対前年同期比102.9%)、営業利益24億5900万円(同392.1%)、経常利益24億900万円(同345.0%)、純利益は8億7800万円で、前年度の2億2000万円の最終赤字から一気に黒字転換を果たした。増収・大幅増益の主な理由としてはコロナ禍での内食需要で、感染対策用品の売れ行きが好調だったことや、まとめ買いによる客単価の上昇などが挙げられる。

 事業別に見ると、SM事業では、全体の約8割の売上を占める「ヤマザワ」は増収増益となったが、秋田県でSM10店舗を展開する「よねや商事」(秋田県/池田正廣社長)、DgS事業を展開する「ヤマザワ薬品」(山形県/山澤廣社長)はそれぞれ増収減益となった。
ヤマザワはコロナ禍で客数の減少に苦しんだが、それを客単価の上昇(同107.9%)でカバーした格好。一方よねや商事は、営業収益は増加したものの21年2月期当初に行った新規出店のコストが響き利益は減少、3億7600万円の最終赤字を計上している。ヤマザワ薬局はコロナによる追い風もあったが、6店舗を閉店したことにより収益は横ばいとなった。

 販管費の面では、既存店の設備更新・活性化のための投資を積極的に行ったことから設備費が増加。閉店による人件費の減少や、コロナによる店頭イベントの中止などによる減少を差し引いても、前期から2億900万円増加した。また、冬季に出店地域で大雪が続き、除雪費用が例年の1.5倍とかさんだことも要因の一つとなっている。

来期は約30億円を活性化に投じる

 20年度、不採算店舗や老朽化の進んだ店舗の閉店・改装にヤマザワは注力してきた。SM事業では、20年8月に閉店した「ヤマザワ谷地店」(山形県河北町)を、約1km離れた場所に新築・移転し12月にオープン。売場面積を637坪と旧店の1.5倍に拡大し、今後の活性化の方針を見定めるチャレンジ店と位置付けて、ベーカリーの新規導入や売場レイアウトの大幅刷新などを実施している。

 一方で、通期ではSM6店舗を閉店(うち2店舗は建て替え予定)、3店舗を改装し、期末のSM店舗数はヤマザワ60店舗、よねや商事10店舗の計70店舗で、前年から3店舗の純減となった。来期はSM1店舗を上期に新規出店するほか、ヤマザワ6店舗を改装する見込みで、全体で約30億円を設備投資にあてる予定としている。

来期増収は困難、施策の柱は「価値戦略」

 22年2月期の経営環境について古山利昭社長は、「21年2月期に比べ、給付金やプレミアム商品券などの消費喚起が期待できず、昨年のコロナ需要の反動もある。また、競合DgSの生鮮強化などで、全体的に売上低下が予測される材料が多い」と話した。しかしそんな中でも、日常の品はより安く、しかし気に入ったものには支出を惜しまない「消費二極化」が消費者の傾向として顕著になってきていることを挙げ、低価格戦略と同時に、消費者から見て魅力のある店づくり・MD(商品政策)に注力する価値戦略に重きを置くという。

 具体的には、旬・トレンドにより厳選した商品を、2週間程度のサイクルで大きく売り出す「バイヤーいちおし祭」の実施や、「即食」「焼き物」「レンジアップ」など、部門横断的に食シーン別の商品を集合展開することで買いやすさの訴求などを行う。また、帰省自粛などで昨年も好評だった地元山形の名物ギフトをさらに強化し、地元米や笹かま、芋煮などのギフトセットを展開する。ギフト部門は2012年と比較し約4倍に売上が伸長しており、ギフトの内容や価格帯も含めて見直し、更なる売上増加をねらう。

 また、買物困難地域への支援を目的としてスタートした移動販売車「とくし丸」事業は2年目を迎え、21年は新たに3台を稼働し合計6台とする予定だ。今後も20台を目標に拡大を続け、新たな需要開拓をめざす。