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フードデリバリーのフードパンダがフードネコと統合し東京進出! 自社倉庫を活用した日用品配達も計画

コロナ禍を契機に利用者が急速に増加しているフードデリバリーサービス。「出前館」など日系企業だけでなく、「ウーバーイーツ」をはじめ最近では外資系のサービスが次々と日本へ進出している。20209月に日本でサービスを開始した「フードパンダ(foodpanda)」は、地方都市を中心に展開エリアを急速に拡大しており、21428日から東京都の一部地域でサービスを開始すると発表。また、21年下期に自社倉庫を活用した日用品の配達サービスを立ち上げることも明らかにした。

日本での展開エリアを急速に拡大

  フードパンダは12年に設立されたシンガポール発のフードデリバリーサービスだ。現在はドイツの配達サービス企業のデリバリーヒーロー(Delivery Hero)傘下で、シンガポール、香港、タイ、マレーシア、パキスタン、台湾、フィリピン、バングラデシュ、ラオス、カンボジア、ミャンマー、日本のアジア12の国と地域でサービスを展開。基本的に25分以内に配達を完了することを強みとしており、「バーガーキング」「サブウェイ」「魚民」など多くの小売チェーンが導入している。

フードパンダと提携している飲食店チェーン

 日本には209月に進出。神戸市や横浜市など6都市でサービスを開始し、その後急速に展開エリアを拡大。日本進出から1年も経たないうちに全国20都市でサービスを展開している。

 東京都でのサービス開始は428日から。展開エリアは渋谷区、新宿区、港区のほぼ全域と、千代田区、中央区の一部地域となっている。開始当初は最低注文金額やサービス料・配達手数料はなく、割引キャンペーンなども展開する予定だ。

フードネコを吸収

 また、東京進出と同時に、ダブリュービージェー(東京都)が運営するフードデリバリーサービス「フードネコ(FOODNEKO)」との統合も発表された。これは、ダブリュービージェーを傘下に持つウーワブラザーズ(Woowa Brothers)とデリバリーヒーローがアジア太平洋地域での戦略的パートナーシップを締結したことによるものだ。両社の日本事業への重複投資を避けるためのサービス統合で、今後はサービス名をフードパンダに一本化する。

フードパンダはフードネコとサービスを統一する(写真中央はフードネコを運営するダブリュービージェー 代表執行役員 CMO マーケティング統括本部長 津毛一仁氏)

 ウーワブラザーズは韓国で2010年に創業した企業で、「配達の民族」を意味する「BAEMIN(ベミン)」という名のデリバリーサービスを韓国で展開している。アプリダウンロード累計は約6100万、月間アクティブユーザー数は約1600万人、月間注文数は約5400万オーダーという韓国最大のデリバリーサービスだ。韓国のほか、ベトナムのホーチミンなど一部都市でも事業を展開している。

 日本に進出したのは2012月。本国とは異なるフードネコという名称でサービスを開始したが、今回のフードパンダとの統合に伴い、約5カ月という短い期間でサービス終了となった。

 デリバリーヒーローとウーワブラザーズの両社で要職を務めるイン・キワン氏は、日本でフードパンダを存続させた理由について、「シンガポールを中心に、アジアですでにグローバルブランドとなったフードパンダに統一したほうがシナジーが高い」とコメントした。今後東京都内では、展開エリアをフードネコと同等の10区にまで拡大し、その後も23区内への展開を積極的に進めていく考えだ。

自社倉庫から直接商品を配送する仕組みを構想

 また、キワン氏はウーバーイーツや出前館など競合との差別化戦略の構想についても示唆した。他サービスより多くのジャンルの料理を取り扱うほか、高齢者やファミリー層などのニーズを満たす日用品の配達にも力を入れる。「D Mart」というサービスを21年下期中には立ち上げる予定で、自社倉庫を拠点に商品を配達する仕組みを導入するモデルを構築する考えをキワン氏は明らかにした。ユーザーのニーズを反映させた商品を自社で準備し、配達することで差別化を図りたい考えだ。

フードパンダはローソンをはじめ、小売チェーンとも積極的に協業する

 そのほか、小売チェーンとの協業も進めていく。現時点ではローソン(東京都/竹増貞信社長)と提携しているが、今後も積極的に小売事業者のパートナーを増やしていきたい考えだ。

 日用品の配達については、すでにウーバーイーツが雑貨店の「フランフラン(Francfranc)」や家電量販店の「エディオン」などいくつかの事業者と実験を進めている。今後は他社との差別化を図るため、フードパンダだけでなく多くの事業者が調理済みの料理だけでなく食材や日用品の配達事業に乗り出す可能性が高そうだ。