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スギHD21年2月期決算詳報、売上高6000億円突破で4期連続の増収増益 来期も好調見込む

ドラッグストア(DgS)チェーンスギ薬局(愛知県/杉浦克典社長)を傘下に持つスギホールディングス(同:以下スギHD)は4月13日、2021年2月期(20年度)決算説明会を行った。コロナ需要に沸くDgS業界。スギHDも4期連続の増収増益および過去最高益を達成する好調な着地となった。

売上高6000億円突破

 スギHDの2021年2月期連結決算は、売上高は6025億1000万円で対前年同期比111.2%、営業利益は337億100万円で同113.2%、いずれも大幅な増収増益となった。また、当期純利益は同101.6%で過去最高益を更新、11ヶ月連続での増益となった。

 増収増益の要因として、主力である「スギ薬局」事業の売上高が、コロナ禍によってマスクや消毒薬などの需要増加を受けて同112.7%と伸長したことが挙げられる。調剤部門は、コロナ禍での受診控えや長期処方、薬価改定などで逆風を受ける形になったが、売上高は対前期比2桁増を維持。処方箋単価の上昇、仕入金額やジェネリック医薬品の直接取引を拡大したことで、利益率が改善されたことが要因と見られる。

 20年度は関東に34店舗など合計121店舗を新規出店、計画を上回る出店を行った。これにより期末店舗数は1391店舗となり、約5年間で総店舗数が4割増加している。

20年度は出店戦略やデジタル化がトピックス

 20年度、スギHDが注力した施策には以下のようなものがある。

 まず出店戦略の面では、安定した収益につながる調剤需要を狙った医療機関併設型の店舗に加え、主に都市部や繁華街で化粧品売場を拡充した「ビューティー特化型」の店舗の割合を増やした。これは、繁華街の店舗では利用客の若年化が進んでいることに対応した施策で、郊外型の店舗では取り扱っていない商品も含め、ラインアップを充実した。

 デジタル化施策では、携帯型情報端末やカウンセリングシステムを導入した。携帯型情報端末は、従来店舗事務室でしか確認できなかった在庫などの情報を、売場などでも確認できる携帯端末。発注作業などの効率化に役立った。一方カウンセリングシステムとは、化粧品コーナーでカウンセリングする際顧客一人ひとりに合った商品選定をサポートするとともに、電子カルテを用いて全国のどの店舗でも購入履歴を確認することができるもので、全店で導入を完了した。また、同社が提供する「スギ薬局アプリ」の会員数が400万人を突破。アプリでの販促を強化することで、販管費の抑制につなげている。

 また、海外事業については同社が業務提携する台湾のドラッグストアチェーン「大樹薬局(Great Tree Pharmacy)」へのプライベートブランド商品の提供、日本式ドラッグストアの運営ノウハウの共有などにも注力した。今後、台湾を足掛かりとして更なる海外展開をめざす。

21年度も増収増益の見通し、重点施策は?

 同社は、22年2月期(21年度)についても引き続き増収増益の見通しを示した。今後新型コロナウイルスのワクチン接種が広がり、経済活動や観光目的での訪日客が徐々に戻ってくるという楽観的な予想を織り込んだものだ。また、店舗数については純増100店舗をめざし、調剤併設型の120店舗を関東・中部などで新たに出店する一方、20店舗を閉鎖する計画を示した。

 また、スギHDの杉浦克典社長は、今後の重点施策として15年に厚生労働省が示した「患者のための薬局ビジョン」への対応を挙げた。服薬情報の一元的・継続的把握や、24時間対応・在宅医療への対応を可能にする薬局の“かかりつけ”化をめざしたもので、25年には全ての薬局がその機能に応じて分類を受けることになる。かかりつけ機能に重点をおいた「地域連携薬局」、専門性の高い薬学管理を行う「専門医療機関連携薬局」、そのどちらでもない「その他の薬局」の3区分への分類となり、スギHDでは「認定の条件は厳しいが(認定を受けられるよう)対応を進めていく」(杉浦社長)としている。

 また、デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進にも注力する。20年にDX戦略本部を新たに設置し、経営のデジタル化を加速することで生産性の改善や薬局機能の強化につなげたい考えだ。具体的には、上でも述べた“かかりつけ薬局”としての機能を強化するため、電子薬歴システムの刷新や、蓄積された調剤データの分析による服薬指導の最適化を推し進める。また、デジタルを用いた利便性向上の面では、スマートフォンから処方箋画像を送信できるようにするサービスや、ビデオ通話を用いたオンラインでの服薬指導などを導入する考えだ。

 杉浦社長は、「コロナ禍や少子高齢化などによって、ヘルスケアを身近にかつ気軽に提供する存在として、DgSへの期待の高まりを感じている」と発表を締めくくり、地域の健康課題解決に今後も全力で取り組む姿勢を示した。