現在、業績絶好調の成城石井だが、かつて旧レックス・ホールディングス(現レインズインターナショナル)傘下にあった当時は業績が低迷し、そこから再生した過去がある。その際に行った業務改革が現在の成城石井の高利益体質の基盤となっているといっても過言ではない。当時行った具体的な施策を、成城石井立て直しの請負人であり、現リテイルサイエンス社長の大久保恒夫氏に聞いた。
成城石井の再生で最初に着手したこと
店舗の「実行度」とレジでの接客力を高める
2007年に私が旧レックス・ホールディングス傘下にあった成城石井の社長に就任した当初、同社は業績こそ伸び悩んでいましたが、組織力や人材自体は決して悪いものではありませんでした。
私が成城石井の再生で行ったことはシンプルで、まずは「基本の徹底」です。
小売業で高業績をあげている企業は、マネジメントレベルが高いことが特徴にあります。本部の指示がすべての店舗で確実に伝達され、上司からの指示を現場がきちんと遂行する「実行度」が高いのです。そうしたなかで重要になるのが、基本を徹底して行える組織づくりです。ですから成城石井でも、「明るい挨拶」「クレンリネス」「欠品の削減」という基本を着実に全店で行うように従業員の意識改革を図り、マネジメントレベルをそれまで以上に引き上げました。
加えて強化したのがレジ部門です。レジは顧客接点が最も多い主幹部門であり、ここでの接客の質を高めれば、多くの人が店に好感を持ち、固定客を増やすことにつながるからです。部門担当者に、業界団体が主催する「チェッカー技能検定」の受験を促すなど教育に注力し、レジでの接客を業界トップクラスのレベルに高めました。同検定で最も難易度の高い1級保持者は全国でも多くないのですが、そのうち多くの合格者を成城石井から輩出しています。
現在の高利益体質をいかに築いたか
128の重点商品をPDCAで徹底的に売る
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