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ウエルシアホールディングスが絶好調! 2021年2月期通期業績予想を上方修正

ウエルシアホールディングス(東京都/松本忠久社長、以下ウエルシアHD)の2021年2月期第2四半期(3-8月)業績は、売上高が対前期比11.5%増の4766億円、営業利益は同44.0%増の264億円と大幅増収増益となった。第2四半期業績開示と同時に2021年2月期通期業績予想を上方修正した。10月9日に行われた決算説明会の松本社長の発言を抄録する。

調剤売上高は計画未達も2ケタ増

  ウエルシアHD20212月期第2四半期業績は2ケタ増収増益だった。新型コロナウイルス(コロナ)の影響により、新規出店数は対計画差14店舗減の56店舗、退店は同4店舗減の9店舗と計画未達だったが、物販が好調に推移した。

  「第2四半期は7月の長雨、コロナ第2波の影響があったが、感染症予防対策関連商品の特需や8月の猛暑による季節品の伸長もあり、物販が業績を大きくけん引。既存店売上高は対前年同期比6.7%増と好調に推移した。時短営業していた26店舗は通常営業に戻っていないが、自粛していたチラシ販促は通常に戻した。販売費及び一般管理費(以下、販管費)については、売上好調の中で前期からの課題である店舗人時コントロール等に取り組み、人件費適正化に努めてきた。以上の結果、上半期として増収増益となり、売上高、利益ともに計画を達成することができた」 

 「調剤売上高については4月の薬価改定の影響に加え、コロナによる受診抑制の影響で長期処方が増えたことにより、処方箋枚数の伸長率は減少したが、処方箋単価は上昇した。処方箋枚数の伸長率は4月を底に元に戻りつつあるが、対売上計画比0.4%減と若干計画未達となった。調剤併設店舗数の増加により調剤売上高は対前年同期比11.9%増で着地した。一方の物販売上高は食品やマスク、消毒等関連商品を含む医薬品がけん引し、同11.4%増で着地した」 

 「売上総利益については、調剤の粗利益率は4月の薬価改定に加え、コロナによる長期処方増加の影響で同0.5ポイント減となったが、患者様サービス向上による調剤技術料の獲得が進んだことや、仕入れ価格の妥結交渉が想定を上回り、粗利益計画を達成した。物販は第1四半期では三密回避のためチラシ販促を自粛したことなどにより、物販全体の粗利益率が上昇したが、第2四半期からはほぼ計画通りに販促を通常に戻した。物販は在宅機会の増加やライフスタイル変化の影響で購買動向が変化している。あるメーカーの調査によると、お客さまは買い回りすることが少なくなり、店舗滞在時間も短くなっているが、買上点数が増えて定番商品の売上はよくなっている。当社では機能性の高い付加価値商品も売れて、上期の物販粗利益率を押し上げたかたちとなった」

 「販管費については、キャッシュレス決済の増加に伴い支払い手数料が増加したものの、第1四半期のチラシ販促自粛による広告宣伝費や、新店や既存店改装見送りに伴う消耗品等が減少した。また、前期から継続課題として取り組んでいる店舗人時コントロールや自動発注等の推進による店舗業務効率化を図り、人件費を中心とした販管費の適正化に努めた。以上により、販管費は計画内で着地した。販管費率でみると、売上高増加に伴い経費率の改善幅が大きくなっているが、まだまだ販管費コントールとしては、仕組みの活用度による効果は店舗によって差がある。改善の余地がまだまだあると考えている」

 

20213月に新プライベートブランドをリリース

ウエルシアHDの2021年2月期の取り組み

  ウエルシアHD20212月期に(1)専門性の追求・営業力の強化、(2)業務効率化に向けた取り組みの徹底と収益力改善、(3)SDGs、社会貢献――の3つに取り組んでいる。 

 「1つめの『専門性の追求・営業力の強化』については、ウエルシア薬局(東京都)の支社機能を強化し、営業・調剤・化粧品それぞれのマネージャーを配置したことにより、地域に根差した専門性の高いエリア運営をするべく、権限移譲を進めるなど、徐々にではあるが各支社で機動的にきめ細かな営業対応や店舗スタッフの育成ができるなど、その効果が見えてきた。また、引き続き調剤併設推進と薬剤師の積極採用を進めるとともに、プライベートブランド(PB)商品については21年3月の新ブランドリリースに向けて、プロジェクトを立ち上げた。SNS・デジタル販促強化に向けて、「LINE」チラシの開始や「ウエルシアアプリ」利用者の獲得を進めている。

 2つめの『業務効率化に向けた取り組みの徹底と収益力改善』については、先ほども触れたが引き続き前期から取り組んでいる人時コントロール及び店舗作業低減のための仕組みを活用し、中期計画において効果を追求していく。

 3つめの『SDGs、社会貢献』については、『ウエルカフェ』はしばらく自粛していたが、緊急事態宣言解除に伴い、新しい生活様式、感染予防に注意しながら活動を再開している。今期中には地域情報、商品情報に関する役立つ情報を積極的に鮮度よく配信する仕組みを開始する。また、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(相互尊重と共生)については専門部署を設置し、課題提起や具体的な解決策を立案するなど推進に向けて着手している。すべての従業員が平等に輝けるよう、制度と連携し進めていく」

「決算短信と同時に開示したが、上期業績を加味し、新たに子会社化した3社の業績を加え、下期には防疫費用や先行投資を計上するので通期業績予想を修正した。足元では昨年の消費税増税前の駆け込み需要があったことから、9月の既存店売上高対前期比は若干ショートしたが、10月は昨年の消費税増税後の反動減に対して、順調に推移している。第3四半期も計画を達成していきたい」

 「現在はウィズコロナで生活様式や行動様式の変化が求められている。インフルエンザウイルスとコロナの同時流行も懸念されている中で、われわれのビジョンである生活のプラットフォーム『専門総合店舗』の実現に向けて、私たちは原点に立ち返って、お客さまが何を求めているのかを、あらゆる角度から意識し、分析し、具体的に行動を変えていく必要がある。中期計画を着実に実行すべく、またコロナによって変化しているお客さまの消費動向、お求めになる品揃えやサービスを提供できるように、今後とも機動的に取り組んでいく」