[東京 9日 ロイター] – ソフトバンクグループ(SBG)と通信子会社のソフトバンクは、9月末以降に港区・竹芝地区の新オフィスへの移転を開始する。従業員約1万人と大所帯のため年内をめどに順次、移転を進める。ただ、新型コロナウイルスの影響で、オフィスに必要なスペースは縮小しており、利用計画の調整もありそうだ。
新オフィスの入る「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」(14日開業)は、東急不動産と鹿島建設が共同開発。ソフトバンクの移転に先立ち9日、ビルの説明会を開いた。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用したスマートビルとして、先端技術の実証実験を進める。人の流れや周辺環境のデータを収集・解析し、快適な環境の整備や効率的なビル管理に役立てるという。
ソフトバンクの宮内謙社長兼CEO(最高経営責任者)は「いろんなパートナーに参加いただき、最先端のテクノロジーが体験できる街として盛り上げていく」と述べた。竹芝エリアでは、自動走行ロボットを用いた配送サービスなどの実用化に向けた実証実験も進める。
コロナ禍という想定外の事態を受け、新オフィスの利用計画は調整も見込まれる。ソフトバンクはリモートワークを推進しており、8月の決算会見で宮内社長は「(従来の)3─4割くらいのオフィススペースでやっていける状況になってきた」と説明。竹芝オフィスタワーには「もっとたくさんのグループ企業も入れるのではないか」との考えを示していた。
宮内社長は9日の会見で「スマートビルやシティを作っていきたい気持ちがある」と、本社移転の意義を説明。リモートワークもしやすい環境にしているとした一方で「オフィスに集うことでアイデアやコラボレーションが生まれることも非常に重要」と述べた。同ビルにはソフトバンクが国内法人に出資する「ウィーワーク」のシェアオフィスも入る。ソフトバンクの従業員も利用できるようにし、異業種の人材との交流を促す。
現在の本社がある港区の汐留には、中央区の日本橋箱崎町から2005年2月に移転した。当時、ブロードバンド事業を中心に事業規模・人員が急増していたことに対応した。