日本チェーンドラッグストア協会は8月21日、東京九段下のホテルグランドパレスで臨時総会を開き、みなし法人としての日本チェーンドラッグストア協会の解散を決議した。同時に一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会の設立総会を開催。2025年に10兆円産業化をめざし新たなスタートを切った。
ドラッグストアの好調はしばらく続く
一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会代表理事会長の池野隆光氏(ウエルシアホールディングス代表取締役会長)は、8月21日の一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会の設立記念記者会見で次のように挨拶した。
「本日、みなし法人としての日本チェーンドラッグストア協会の解散決議を行った。その際、『浦上宣言』がなされた。非常にすばらしい内容なので一部紹介したい。『われわれは今、業界発展のために駆け抜けたこれまでの20年を礎に、日本の未来を見据えたこれからの20年に向け、新たな組織団体として活動を開始したいと存じます。みなし団体としての日本チェーンドラッグストア協会はこれをもって解散となるが、一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会に未来を託したく存じます。改めまして、これまでの日本チェーンドラッグストア協会の活動に対し、二十余年にわたる多くのみなさまからの多大なご協力に深く感謝し、ここに解散を宣言します』」
「みなし法人としての日本チェーンドラッグストア協会を解散して新たな団体組織をつくっていくということは前から決まっていたが、新型コロナウイルス禍があることは想定していなかった。新型コロナウイルスによって、健康や予防が非常に大きな注目を集めることになった。そこのことはドラッグストアを押し上げる結果になった。大変苦しんでいる業界もあるが、ドラッグストア業界が総じて好調なのは衛生関連を取り扱っていたことが大きい。この状況はしばらく続くだろうと考えると、ドラッグストアはさらに大きく発展していく可能性が高い。とくに食品を多く扱っている店舗や企業は非常に大きな成長が望まれている。食品があるところがすべて伸びているわけではないが、衛生関連と食品が合体した業態として成長している、あるいはお客さまの支持を得ているといえる。これからは食と健康を併せ持った業態が大きな注目を浴びてくると思われる」
ほかの団体と共通の課題や問題を解決していく
池野会長は改めてほかの団体に協働を呼び掛けた。
「一般社団法人としてのスタートを契機に、さらにほかの団体と協働しながら次の一手を打っていきたい。ほかの団体とは、1つは日本薬剤師会や日本保険薬局協会などの薬系団体だ。それ以外にも、医薬品の生産や販売を主たる業としている各種団体と、共通の課題や問題があれば一緒に解決していきたい。また、あらゆる業界と連携して、日本チェーンドラッグストア協会が一緒に物事を解決していく方向にもっていけたらいいなと考えている」
「ドラッグストア業界がめざす2025年10兆円産業化は通過点だ。そう遠くないうちに達成できると思っている。ただ達成すればいいというわけではない。10兆円が手頃な目標になってはいけない。今後、日本チェーンドラッグストア協会が何をしていくのかが大事だ」
今回の一般社団法人設立の背景について、日本チェーンドラッグストア協会業務執行理事事務総長の田中浩幸氏は次のように説明する。
「1999年の日本チェーンドラッグストア協会設立から、歴代会長や故・宗像守事務総長、今西信幸前事務総長をはじめ、多くの方々が業界の発展に尽くしてきた。その中で活動のしやすさという点では、みなし法人、つまり法人格という決まったかたちを持たない状態がよかったシーンもあったのだろうと感じる。われわれはドラッグストアに対して、社会からの要請が高まっているというところを明確に認識している。業界団体を外から見たときにわかりやすい体裁であるということが大事だろうというのが一般社団法人化議論の1つのスタートだった。一般社団法人という比較的事業自由度の高い法人格を取得することで、外から見ても、中で活動するわれわれも非常にわかりやすい団体にしていこうという結果が今回の法人格取得につながった」
一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会は、(1)健康産業としてのわが国のドラッグストア業態の産業化の推進、(2)ドラッグストア産業の具体的な発展、育成に必要な情報の収集、提供、(3)ドラッグストアを取り巻く生活者、産業界、行政に対する建議、提言を行い、国民の健康と豊かな暮らしに寄与する――の3つを目的としている。